宮田理江の古着DIVE
時が育んだ価値を、今のあなたへ。
連載企画
#9
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2026.5.7
「古着ファッションショーに学ぶ、連休コーデのつくり方
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
3月に世界初の古着ファッションウィーク「Tokyo Vintage Fashion Week」が東京都内で開催されました。様々な古着店のブースが並んだ会場内でファッションショーが行われるというユニークな構成。東京の古着・ヴィンテージカルチャーを世界へ発信する試みです。
このショーで披露されたのは「古着屋JAM」と「WEGO」の古着だけを用いたルックです。スタイリングを手掛けたのは、スタイリストの原田学氏とデザイナー/アクティビストのeri氏。一点物の希少価値に頼るのではなく、「今、どう着るか」にフォーカスしたアプローチが際立っていました。
提案された着こなしは、古着・ヴィンテージの特別感をひけらかすのではなく、「この感じを取り入れてみたい」という気持ちに誘うような、親しみやすさが感じられました。スタイリングのセンスや工夫がストレートに伝わってくるルックが目立ちます。
◆レイヤードで引き出す、定番アイテムの新しい表情

とりわけ印象的だったのは、レイヤードや小物使い。自由度の高いスタイリングの中に、すぐに実践できそうなヒントが随所にちりばめられていました。たとえば、長袖シャツの上に半袖Tシャツを重ねるレイヤード。ボトムスにはチェック柄のスラックスを合わせ、足元はカラーソックスにヒールサンダルという組み合わせで、上下でコントラストを効かせています。
一つひとつはベーシックなアイテムでありながら、異なるテイストをミックスすることによって、おしゃれ度がぐっと引き上がっていました。古着ならではの着込まれた風合いがこなれ感を生み、洗練された自然体に仕上がっていたのも素敵に感じられた点です。
◆シーズンレスに楽しむ、古着のトレンドミックス

今シーズンらしいトレンドも、古着でうまく取り入れられます。大襟のフリルブラウスにざっくりとしたニットを重ね、ミニマルな黒パンツとヒール靴を合わせることで、大人の遊び心を感じさせる、どこかシーズンレスな雰囲気に仕上がっています。さらに、巨大な安全ピンをブローチのようにあしらい、さりげないアクセントをプラス。古着ならではの自由な発想が光るスタイリングです。
◆スーツを着崩して、自分らしく味付けを楽しむ

セットアップやスーツをあえて着崩すスタイリングもお手本になります。ジャケットにはたくさんの缶バッジをあしらい、プレイフルな表情を加えました。クロップド丈のパンツには、あえてハイカットのスニーカー風ブーツをマッチング。足元にボリュームを持たせ、バランスに変化をつけています。さらに、首元には色あせたスカーフを巻いて、こなれたムードを演出。スーツならではのきちんと感をベースにしながらも、自分らしさを感じさせる仕上がりです。
◆古着でつくる、今どきのリアルクローズ

古着特有のフェード感や味わいを活かしながら、今の気分へと引き寄せるスタイリングが新鮮に映りました。新品では出せない一点物ならではの表情や、時間を重ねたニュアンスが装いに自然な奥行きをもたらしてくれます。「自分らしさ」を無理なく表現できるリアルクローズとして、古着が改めて注目されている理由です。
全体を通して示されていたのは、「いい古着=希少価値」という従来のヴィンテージ観にとらわれていない点です。「手に取りやすいアイテムをどう着るか」という視点に、今の古着シーンの深まりを感じました。
お出かけ機会が増えるゴールデンウィークは、古着を取り入れたスタイリングを試すチャンスにもなりそう。古着ファッションショーのルックを、ぜひ参考にしてみてください。
次回は、古着で楽しむデニムにフォーカス。盛り上がりが続くデニムの着こなしをお届けします。お楽しみに!
PROFILE
著者情報
ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター
多彩なメディアでコレクショントレンド情報をはじめ、着こなし解説、スタイリング指南などを幅広く発言。複数のファッションブランドの販売員(店長)としてキャリアを積み、バイヤー、プレスも経験。自らのテレビ通販ブランドもディレクション。
趣味は国内外のヴィンテージ・古着店巡り。毎日ファッション大賞選考委員/Yahoo!ニュースエキスパート