宮田理江の古着DIVE
時が育んだ価値を、今のあなたへ。
連載企画
#3
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2025.10.28
2025-26 秋冬トレンド、押さえておきたい6つのキーワード
(筆者撮影)
KEISUKEYOSHIDA 2025-26年秋冬コレクション
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
ようやく過ごしやすい気温に落ち着いてきて、秋のおしゃれを楽しめるタイミングになりましたね!
こちらは日本ブランド「ケイスケヨシダ」(keisukeyoshida.com/)の2025-26年秋冬コレクションです。ゲームセンター内のガヤガヤした場所で発表されたショー。デニムパンツにオーバーサイズのシャツ、アウターのレイヤードにクラシックなワンハンドルバッグといった合わせ方が印象的でした。
写真からも伝わってきますが、この秋冬トレンドとしてはレイヤードやテイストミックスがポイントに。今回は、2025-26年秋冬に押さえておきたいトレンドキーワードをスタッフさんのコーディネートからピックアップしました。服選びの参考にしていただけたらと思います。
PROFILE
著者情報
ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター
多彩なメディアでコレクショントレンド情報をはじめ、着こなし解説、スタイリング指南などを幅広く発言。複数のファッションブランドの販売員(店長)としてキャリアを積み、バイヤー、プレスも経験。自らのテレビ通販ブランドもディレクション。
趣味は国内外のヴィンテージ・古着店巡り。毎日ファッション大賞選考委員/Yahoo!ニュースエキスパート
1)タフ×フェミニン(メンズムードに甘めムードを投入)
上下で素材やムードを変えると、味わい深いルックに仕上がります。たとえば「タフ×ソフト」のようにコントラストを際立たせるのがコツ。こなれて映りやすいのは、マニッシュとフェミニンのミックスです。
ハンサムな白シャツに黒ベスト、そこに相反する甘めのドット柄スカートでジェンダーミックスなスタイリングに。首に巻いた赤いスカーフが絶好の差し色になっています。サラリと羽織ったマウンテンパーカーとロングブーツでタフなムードを取り入れることでスカートの甘さが引き立つ仕掛けです。
2)ストリート×エレガント(縦長レイヤードで大人ストリートに)
ストリート感とドレッシーさをほどよく掛け合わせるスタイリングが人気を集めています。カジュアルにまとめすぎず、1点か2点だけ異なるテイストを取り入れると、大人らしい抜け感が生まれます。
たとえば、アメカジをベースにしたルックに、チェック柄のネルシャツをスカーフのように腰に巻くテクニック。パーカ×デニムのシンプルな組み合わせが、腰巻きシャツによってスカートのようなレイヤードに変わります。さらに、シャツの縦のラインがスタイルアップ効果も発揮。仕上げにきれいめのハンドバッグと紳士風の革靴を合わせれば、全体が引き締まり、こなれた大人のストリートスタイルが完成します。
3)アナザープレッピー(学生風を別ムードに味付け)
アメリカの名門学生がトラッドを着崩した「プレッピー」が再びトレンドに。上品さを保ちつつ、気取らない着映えに仕上がるのがよさ。カレッジ気分が宿るのも、プレッピーならではです。
ポロシャツは秋冬にも人気継続。なかでも襟が大きめのニットポロでレトロムードを演出できます。ショートパンツと長めの白ソックスがスクールガールのようなチャーミングさをプラス。ここであえてお決まりのローファーではなく、スニーカーでイメージをずらしたテイストをミックスするのがアナザー(Another)=別のプレッピースタイルの仕掛けどころ。王道から少しだけ外すことで、ぐっと今っぽく見えるんです。
4)チャーミングストリート(スポーツアイテムをかわいく着こなす)
ミックスコーディネートの「数式」が一段とチャレンジングになってきました。ストリートにロマンティックを掛け算するような複雑なアレンジが盛り上げっています。いろいろなテイストのアイテムがそろっている古着・ヴィンテージ店では、フロア内を見て回るだけで、自分好みの方程式を組み立てられそうです。
ピンク×ブラックのカラーミックスが印象的な「技あり」コーデ。トラックジャケットにテーラードジャケットを重ねるストリート×正統派のコントラストも際立っています。バルーンスカートとレースタイツでフェミニンをプラス。複数のテイストが響き合うマリアージュルックが新トレンドです。
5)アーバンデニム(デニムを都会的に格上げ)
デニムがトレンド素材に返り咲き、様々なデザインが登場。古着・ヴィンテージ店では看板アイテムともいえるデニムウエア。着こなしのバリエーションが広がり、非カジュアルの着方も選びやすくなっています。
膝丈のデニムワンピースを主役に、スエードのベストを重ねてすっきりと。古着ならではのフェード感が、長く愛用してきたようなこなれたムードを漂わせます。こうしたデニムを都会的に着こなすスタイルは、いま世界的にも注目の流れ。足もとはレザーブーツで引き締め、頭に巻いたバンダナでほんのり遊び心を添えて。カジュアルの中に品のあるバランスが、今の気分にぴったりです。
6)ウエスタン&フェティッシュ(ブーツやバッグでシックに)
「官能的」と訳される「フェティッシュ」なムードを日常に取り入れる流れがでてきています。今のフェティッシュはセクシーさを抑えた、ほのかなさじ加減がポイントです。真逆ともいえるメンズ風の強いテイストと引き合わせるとなじみます。
レースのキャミソールチュニックには、あえてストリート感のあるジョーツ(デニムのハーフパンツ)を合わせてトーンダウン。足もとはウエスタンブーツで、ほんのりワークウエアのニュアンスをプラス。仕上げにクラシカルでレディーなバッグを合わせれば、ほどよく力の抜けた大人の余裕を感じさせるスタイルに。
6つのルックそれぞれから新トレンドが読み取れます。「JAM」のショップスタッフさんたちはおしゃれ感度が高いから、今回のトレンドキーワードにもピッタリでした。ぜひ、スタッフコーディネートをお手本にして、新トレンドを取り入れてみてくださいね。
さて、次回は、私の新しい書籍『古着ひとつでおしゃれになります』(10月23日発売)を手がかりに、古着・ヴィンテージとの付き合い方をご紹介します。書籍中のおすすめショップリストでは「JAM」さんもご案内しています。お楽しみに!