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2025.09.19

こなれ感は"メンズ古着"で手に入れる!実は女性こそ似合う(後編)

(筆者撮影)

ANCELLM 2026年春夏コレクション

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

先週は2026年春夏東京コレクション(正式には「Rakuten Fashion Week TOKYO」)の取材でした。この東京コレクションは「世界4大コレクション」といわれるパリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ「第5のコレクション」とも呼ばれていて、世界から注目されているんですよ。

なぜそんな話をするかというと、デザイナーが新作をつくるときに、古着やヴィンテージをインスピレーション源に選ぶことがとても多いからなんです。特にメンズデザイナーにその傾向が強いように思います。

ファッションショー取材中に印象的だったのが、写真の日本のメンズブランド「ANCELLM(アンセルム)」(ancellm.com)。ブランドのコンセプトは「視点を変えた経年変化」。着れば着るほど魅力が増す、あの「服が育っていく感じ」をデザインに落とし込んでいます。女性も着たくなるジェンダーレス系アイテムが登場。素材はもちろん、緻密なテクニックに引き込まれました。改めて思うのは、作り手たちは「過去の良いもの」をリスペクトしながら、今の時代に合う形で新しい価値を生み出しているということです。

さて、第1回のコラムでは、女性にこそおすすめしたい「メンズ古着」として、「Tシャツ」と「ポロシャツ」をご紹介しました。今回の第2回はその後編。「ラガーシャツ」と「スウェットトップス」です。どちらもメンズの王道ですが、女性が取り入れると、新鮮に映るので、選択肢に加えておきたいアイテムです。

PROFILE
著者情報

宮田理江

ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター
多彩なメディアでコレクショントレンド情報をはじめ、着こなし解説、スタイリング指南などを幅広く発言。複数のファッションブランドの販売員(店長)としてキャリアを積み、バイヤー、プレスも経験。自らのテレビ通販ブランドもディレクション。
趣味は国内外のヴィンテージ・古着店巡り。毎日ファッション大賞選考委員/Yahoo!ニュースエキスパート

ラガーシャツ

まずご紹介したいのが「ラガーシャツ」。その名の通りラグビー選手が着るシャツです。ここ数年、「ブロークコア(Blokecore)」というスポーツミックスの着こなしが注目されていて、ラガーシャツが再びブームに。「Bloke=やつ、野郎」というイギリスのスラングからきていて、メンズのスポーティさが漂う着方です。

シャツをつかんで引っ張り合うことが多いスポーツだけに、生地がしっかりしています。特徴的なのは、目立つ配色。タフさとリラックス感が共存する独特の雰囲気があります。海外のラグジュアリーブランドのランウェイにも登場するほど、今やおしゃれの人気アイテムになっているんです。

おすすめは「ずらしコーディネート」。メンズサイズのラガーシャツに、あえてフェミニンなチュールスカートやレーススカートなど、甘めのボトムスを合わせてみてください。「スポーティ×ロマンティック」の着こなしに整います。

ラガーシャツはワードローブにまだ迎えていない女性が多いアイテムじゃないでしょうか。もちろん、ジェンダーレスっぽくショートパンツやジョーツ(デニムのハーフパンツ)に合わせても素敵です。古着のラガーシャツは程よいこなれ感があって、取り入れやすいかと思います。

スウェットトップス

次は「スウェットトップス」。トレンドになっている「プレッピー」や「アイビー」といった学生風スタイルにぴったりのアイテムです。ちなみに「アイビー」はアメリカ東部の名門大学群「アイビーリーグ」に通う学生たちの装いが由来。もう少し若くてカジュアルな雰囲気が「プレッピー」。どちらも若々しいムードを帯びた着こなしです。どちらも学生というところで、カレッジロゴなどを取り入れたフレッシュな着こなしがポイントになっています。

その学生風のアイテムを、シックに着こなすなら、古着のメンズスウェットがおすすめ。オーバーサイズを選んでゆったり着れば、肩の力が抜けたリラックス感が出ます。しかも古着特有のフェード(色あせ)感やプリントのかすれ具合が自然な抜け感をプラスしてくれるんです。

選び方のコツは「落ち着いた色」。黒、白、グレー、ネイビー、あとはくすみカラーを狙うと、大人っぽく着られます。さらに、秋口にはシャツにレイヤードして、シャツの襟や裾をのぞかせると、奥行きのある見え具合に。「Champion(チャンピオン)」などの昔のスウェットは肉厚でしっかりとした素材感が魅力。現在ではなかなか再現できない風合いです。しかも生産コストの高騰もあり、当時のような質感を新品で求めるのは難しくなっています。だからこそ、古着のスウェットには今なお特別な価値があるんです。


「本物」のユーズドはコスパ的にも魅力

最近はユーズド加工の新品アイテムもよく見かけます。とてもおしゃれですが、凝った加工をしているぶん、値段も高め。それに対して古着は、最初から「本物のユーズド感」が備わっているので、特別な加工なしでも雰囲気が出ます。しかもサステナブルで、財布にもやさしい。これぞ古着ならではのよさです。

前編・後編でご紹介したアイテムは、どれもメンズの定番。でも、女性が着ると不思議とぐっとこなれて見えるのがポイントです。手持ちのワードローブに合わせやすいので、最初にメンズ古着を取り入れるなら、トップスからがおすすめ。オーバーサイズを選んでラフに着るだけで、自然な抜け感が備わりますよ。

今回も、JAM堀江オレンジストリート店さんにご協力いただきました。ありがとうございました。

さて、まだまだ暑い秋が続きそうですが、そろそろ秋冬のトレンドも気になってきませんか? そこで、次回は「2025-26年秋冬トレンドキーワード」をお届けします。どうぞお楽しみに!

古着屋JAM堀江オレンジストリート店 店長(左)
宮田理江(中)
ADÉL VINTAGE by JAM 堀江オレンジストリート店 店長(右)

堀江オレンジストリート店

ADÉL VINTAGE by JAM

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