古着定番アウターとして、認知度も高い「カバーオール」は、武骨な雰囲気で、男心をくすぐる魅力をもつアイテムのひとつです。
その背景には、過酷な現場で働くワーカーのために、丈夫で機能的なワークウェアとして作られたルーツが深く関わっています。
今回は、そんな「カバーオール」の実は、な歴史の解説、生産国によって変わる生地の種類、おすすめコーディネートをご紹介していきます。
是非、最後までご覧ください。
カバーオールとは?オーバーオールとの違い
「カバーオール」とは、シャツジャケット型のワークジャケットの総称で、元はワークウェアになります。
英語では「つなぎ」のことを意味しますが、日本ではワークテイストの「シャツジャケット」のことを主に指すことが一般的です。
また、別名で「チョアジャケット」、「レイルロードジャケット」、「エンジニアジャケット」などと呼ばれたりもします。
ワーカーが作業しやすいように作られた「カバーオール」は、ゆとりのあるシルエットと、たくさんのポケットが付いていることが特徴的で、着やすさと、機能的な部分から現代のカジュアルウェアとしても高く認知されています。
カバーオールの歴史を解説 ルーツは作業着だった?
「カバーオール」の起源は、18世紀に誕生したとされており、当時の農夫や鉄道作業員、鉱山労働者などの多くのワーカー(労働者)の”作業着”として広く浸透していました。
デニムやダック地などの、丈夫な素材を用い、汚れから身を守るために設定された長めの着丈や、前身頃に多く取りつられたポケットは、当時のワーカーにとって、革命的で機能性の高い、ワークウェアでありました。
そんなワーカーより、多くの支持を集めた「カバーオール」の生みの親は、ご存知の方も多い、あの「カーハート」でありました。
カバーオールの生みの親「カーハート」
ワークスタイルや、アメカジを連想させるアイテムの「カバーオール」はアメリカからスタートします。
1889年に誕生したブランド、Carhartt(カーハート)から「カバーオール」は始まったとされています。
カーハートは当時、小規模ながら工場労働者向けのウェアの販売に着手しましたが、なかなか成果は実りませんでした。
そこで、鉄道員向けのウェア作りに目を向けます。当時の鉄道員たちの意見を採用したカーハートは、ダック地とデニムの「オーバーオール」を開発。
労働者に寄り添った商品開発によって生まれた、「オーバーオール」は鉄道員から絶大な人気を誇りました。
ワークウェアブランドとして確固たる地位を築いたカーハートは、1923年に「カバーオール」を発表します。
「オーバーオール」同様に、当時の鉄道員たちの支持を集め、彼らが好んで着用していた背景から「レイルローダージャケット(railroader jacket)」と呼ばれることもあります。
独自の進化を遂げたユーロワークのカバーオール
アメリカンワークのイメージが強いカバーオールですが、ユーロワークの「カバーオール」も多くのメンズを魅了し、根強い人気があります。
アメリカ同様に、フランスやドイツ、イギリスといったヨーロッパ各国で様々な種類の労働者たちに使用されていました。
ユーロワークのなかでも、特にフレンチワークのものが有名で、ヨーロッパ古着の中で根強い人気があります。
ユーロワークの「カバーオール」の特徴として、ワークウェアにもかかわらず、洗練されたデザインや比較的コンパクトなシルエットが挙げれます。
ディティールの、少し丸みを帯びた中世的な襟や、フレンチインクブルーと呼ばれる上品な色味のブルーなども印象的です。
デニムやダック地などハードな生地が主に使われていたアメリカに対して、ヨーロッパではモールスキンやコットンツイル、ヘリンボーンといった柔らかくも丈夫な素材が使われていました。
そういった素材やディティールの印象が相まって、上品さを醸し出しています。同じ「カバーオール」でも、アメリカンワークの「カバーオール」とは違った雰囲気を持ち合わせています。
また下記ブログでも、それぞれの「カバーオール」の特徴をご紹介致しております。是非ご覧ください。
https://jamtrading.jp/blog/mens/2020/02/21/19680/
カバーオールとの相性◎タフな生地をご紹介
「カバーオール」には、過酷な労働環境に耐えうるための耐久性が求められました。耐久性を実現するために、「カバーオール」に使用された素材をご紹介いたします。
・カバーオールの生地「デニム」
アメリカンワークの「カバーオール」に使用された、王道かつ元祖の素材であるデニム。
ワークアイテムと深い関りを持つデニムは、1870年代のゴールドラッシュまで遡ります。
過酷な環境でも破れず、動きやすさを実現できる素材のデニムは、多くの労働者たちに受入れられました。
デニムは厚手のコットン糸を綾織りして作られた生地を指し、何よりも頑丈さが特徴。
インディゴブルーの縦糸と、白色の横糸で織られたデニムは、ダメージによって色落ちが発生し、独特な風合いを出します。
・カバーオールの生地「ダック地」
デニム同様に、アメリカンワークの「カバーオール」の元祖の素材であるダック地。
ダック地は太めのコットン糸を密に折り込んだ平織りの生地を指します。
デニム素材は動きやすく、柔らかい綾織りのため摩擦に弱い点が挙げられますが、平織りであるダック地はハリがある為、より高い耐久性を実現しています。
”Duck(ダック)”は、オランダ語で”リネン製キャンバス”という意味を示す、”Doek”が由来しています。
一般的なキャンバス生地と明確な違いはありませんが、より密度を上げたものとして認識されることが多いです。
デニム同様に丈夫さや、経年変化を楽しめるのも魅力となっています。
・カバーオールの生地「モールスキン」
「モールスキン」とは、コットン糸を綿密に折られた起毛のある生地を指します。
厚手で柔らかい手触りが特徴となっています。モグラの肌に見た目が似ていることから、モグラ(mole)の肌(skin)=モールスキン(moleskin)という由来となっています。
独特な手触りが特徴で、裏表起毛しているため、優しくふっくらとした風合いです。優しい風合いを持ちながらも、高密度かつ起毛するように織り込むため、デニムやキャンバス生地より丈夫と言われています。
1940~50年代のフランスの「カバーオール」に使用され、炭鉱夫を中心に着用されていました。
アメリカにおける「デニム」のようにヨーロッパにおいては「モールスキン」が広く受け入れられていました。
・カバーオールの生地「ヘリンボーン」
「へリンボーン」とは、V字型の綾織りの柄の事を指します。
右上がりの綾織りと、左上がりの綾織りを交互に組み合わせることで、V字型の模様を作り上げています。
右上がりの綾織りの特徴である丈夫さと、左上がりの綾織りの特徴の柔らかさが、厚手ながらも柔軟性がありつつ、耐久性も備える生地に仕上げています。
綾織り独特の光沢感は、どこか上品で高級感があります。
「へリンボーン」は、とりわけドイツ軍の「カバーオール」によく使用されてました。
加えて、当時のヨーロッパの農家や職人、工場勤務の労働者など幅広く着用されており、丈夫さと柔らかさの両方を兼ね備えたジャケットは広く受入れられていました。
カバーオールのメンズコーデ5選
アメリカ、ヨーロッパで広まった「カバーオール」はそれぞれ違った魅力があります。
どちらもメンズコーデに非常に相性がよく、様々なコーデにマッチします。
そんな「カバーオール」を使ったメンズコーデをご紹介いたします。是非参考にしてみてください。
・「カバーオール」を使ったワークコーデ
古着屋JAM 商品管理センター廣島のコーデをご紹介します。
ユーロワークらしいブルーの「カバーオール」を使ったコーデ。
元来上下で着られていた、オーバーオールを合わせて、王道のワークコーデに。
野暮ったくなりすぎないように、首元に赤のアクセントカラーを取り入れています。
⇨古着屋JAM商品管理センター スタッフのコーディネート一覧
・「カバーオール」を使ったストリートコーデ
ユーロワークには珍しい、ベージュの「カバーオール」を使ったコーデ。
全体的にオーバーサイズなサイジングでストリート感を演出。
ユーロワークの柔らかな雰囲気や色味で、どこか柔らかな印象に。
・「カバーオール」を使ったトラッドコーデ
古着屋JAMアメリカ村店 山内のコーデをご紹介いたします。
爽やかなホワイトの、ユーロワーク「カバーオール」を使ったコーデ。
スラックスへのタックイン、レザーシューズ、ストールといった、上品なアイテムとミックスし、武骨さを感じさせないトラッドコーデに仕上げています。
・「カバーオール」を使ったアメカジコーデ
古着屋JAM 商品管理センター廣島のコーデをご紹介します。
落ち着きを感じるグリーンの「カバーオール」を使ったコーデ。
ニット帽やスニーカーなど、可愛らしい雰囲気のアイテムを使いつつ、落ち着いた色味の「カバーオール」でクリーンな色味を意識したアメカジコーデです。
⇨古着屋JAM商品管理センター スタッフのコーディネート一覧
・「カバーオール」を使ったミックスコーデ
アメカジ定番のデニム「カバーオール」を使ったコーデ。
ネルシャツとカバーオールというワークがルーツのアイテムを使用しつつ、
ミリタリーベイカーパンツや、レザーシューズを合わせて遊び心を取りいれています。
カバーオールは末永く使えておすすめ!
過酷な環境での労働での使用を想定した「カバーオール」は、簡素な作りながらも、機能性と実用性に優れています。
アメリカとヨーロッパでは、使用された素材に違いがあり、それぞれ違った雰囲気が楽しめます。
場所は違えど、ワークウェアとして頑丈に作られた「カバーオール」は、何十年とたった今でも、現役で使える優れものです。
そんな魅力たっぷりの「カバーオール」数々を、ぜひ、古着屋JAMでチェックしてみて下さい。
※古着屋JAMの商品は、全てが当社のバイヤーによって海外で買い付けられた一点物です。販売するにあたって、入念なケア・検品を施しておりますので、お客様には安心してご購入いただけます。