

2025.6.11 #スタッフインタビュー
宮﨑悠太×東晴斗
古着で再現するスタイルの醍醐味
―――「ただ古着を着るだけじゃ、なんだか物足りない。」そんな風に感じ始めたあなたへ。古着の楽しみ方をアップデートするなら、スタイルを“再現”する視点を持ってみませんか?
今回対談するのは、古着屋JAMの中でもトレンド感度が高く、ブランドのルックブックや海外スナップをヒントに“古着で今っぽさを再現する”スタイリングを得意とする、宮﨑悠太と東晴斗。異なるテイストながら、それぞれの解釈で「自分のスタイル」を突き詰めているふたり。日々のコーディネートやファッションに対する価値観には、明日からのスタイリングに活かせるヒントが詰まっています。

宮﨑悠太(左) 東晴斗(右)
普段のスタイリングはInstagramでもチェック可能。
“着こなしの参考にしてます!”という声が多く寄せられるふたりのアカウントはこちら。
JAMTRADINGプレス
宮﨑悠太:@ytmz_06
奈良県出身。2020年に古着屋JAMに入社。
古着屋JAM明治通り店で副店長と店長を経験し、今年6月からプロモーション推進課に異動。
好きな古着はアメカジからユーロまで幅広く、今はアメカジと2000年代の古着がブーム。趣味は登山やキャンプ。
ADÉL vintage by JAM 店長
東晴斗:@18gousan
大阪府出身。2021年に古着屋JAMに入社。
古着屋JAM渋谷店で店長を経験し、現在は6/13に古着屋JAM原宿店インショップにてOPENのADÉL vintage by JAMに就任。リユースショップでのアルバイト経験からブランド古着に興味を持つ。
好きな古着はデザイナーズのアーカイブ。趣味はアニメとゲーム。
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古着で“再現”するとは?
〔第1章〕古着で“再現”するとは?
― そもそも「再現」という視点で古着を楽しむようになったきっかけは?
東:僕がシンプルに服に興味を持ったきっかけって、「誰かの真似」なんですよね。
友達の服装だったり、一緒に働いているスタッフだったり、「このスタイリング、ええな〜。真似したいな〜」って思ったときに、自分の中に新しいアイデアが浮かんでくる。それが楽しくて。
「再現」の原型って、僕にとっては「真似したい」って気持ちなんです。
宮﨑:自分も晴斗くんと似てて、大阪のJAMで働き始めたころ、自分のスタイリングにあまり自信がなかったんです。
上司にも「ごちゃごちゃしてるな〜君の服装」って言われたりして(笑)。
その時に、先輩の友達が働いていたアパレルショップで、ブランドのコレクションを参考にスタイリングを組んでるって話を聞いて、「あ、こういう視点で服を楽しむのもアリなんや」って思ったんですよね。
トラッドとかプレッピーとか、国や時代ごとにルールがあるスタイルもある程度理解した上で、ファッションを楽しみたいと思うようになって。
そのときちょうどブランドのLOOKをよく見てたし、モデルさんのストリートスナップなんかも参考にしてて。
「このスタイル、かっこええな。でも全部ブランドで揃えるのは高いな」ってときに、じゃあ古着で似たスタイルを“再現”してみようって思ったのが始まりですね。

東:僕の場合、再現っていう感覚は中学生の頃からもうあったかもしれないです。
憧れが強くて、小さい頃に見てた戦隊ものとかでも、赤=リーダー=かっこいい、みたいな(笑)。
それで赤い服や赤い靴を選んだりしてました。そういう「真似したい」っていう気持ちは、今でもスタイリングに反映されてると思います。
宮﨑:その発想、めっちゃピュアでいいな(笑)。
ファッションからじゃないんや。
東:中学のとき、みんなでラウンドワン行ったりするときの服装を見て、「あ、あいつのスタイルええな」って思ったら「俺も真似しよう」って。
でも、真似するってちょっと気恥ずかしいところもあるじゃないですか。プライドとかもあって。
でも、たぶんそういうのを乗り越えて、色んな人の“カッコいい”を吸収していくうちに、自分のスタイルって再現されていくんやと思うんです。

幼少期の東さん
宮﨑:真似することを恥ずかしいと思わず、素直に取り入れてきたからこそ、今の晴斗くんのスタイルがあるんやな。
― 最初に「これを古着でやってみたい!」と思ったスタイルは?
東:正直に言うと、僕、JAMに入るまでは古着にそんなに興味なかったんです(笑)。ただ、自分をカッコよく見せるためのツールの一つというか、「古着そのものが好き」というよりは「スタイルを作るために使うもの」って感覚で。でも実際に働いて、日々いろんな商品に触れる中で、それぞれのアイテムが持っているシルエットの面白さとか、着たときの雰囲気の出方とか、どんどん惹かれていって。
宮﨑:あー、あるある(笑)。触ってみて初めて気づくよな。
東:そうなんです。たとえば90年代のオーバーサイズとか、アイテム自体に時代性が宿っていて、それを現代のバランスで着るとどうなるか…みたいな。その「ズレ」すら面白くなってきて。結果的に、ファッションの入り口としては古着が一番懐が深いし、自分の「こうなりたい」を実現しやすいジャンルなんじゃないかって、今は思ってます。

宮﨑:僕はJAMに入ってからですね。やっぱり、周りにかっこいい人がたくさんいたから。最初の頃は、とにかく真似してましたね。特に今、MDをしている洋さん(山内洋輔@yoh081)!当時から服のセレクトもスタイリングもめっちゃかっこよくて、「この人みたいになりたい」って思ってました。
東:洋さんの影響、わかるな〜。
宮﨑:で、洋さんの着こなしを見て「これがトラッドか!」とか「これがミリタリーの合わせ方なんや」とか、ジャンルごとのスタイルの“型”を学んでいった感じ。で、自分でも「このLOOK再現できへんかな?」って考えるようになっていった。最初は「再現」っていうより、ただの「模写」に近かったかもしれへんけど、そこから徐々に自分らしさが混じっていったというか。
東:真似から入って、自分の感性で削ぎ落としていく感じ、あるあるですね(笑)。

― 古着で再現する楽しさと難しさは?
東:自分で一から考えて組んだコーディネートで外に出かけたとき、めちゃくちゃ高揚感があるんですよね。で、逆に「うわ〜今日の感じ、ミスったな〜…」ってときもある(笑)。その日のテンションにも影響するくらい。でもそれも含めて楽しさかなって思います。
宮﨑:うん、めっちゃわかる(笑)。
東:なんか…歌手が新曲を出す時みたいな感覚に近いというか。ヒットする曲もあれば、そうじゃない曲もある。でも、その試行錯誤の中で自分のスタイルができていくのが“再現”することの本質というか。
宮﨑:なるほどな、それおもしろい表現(笑)。僕が思う難しさは、再現したいスタイルが多すぎること!たとえば「今年はワークっぽいのやりたいな〜」とか「ちょっとトラッドもかっこええな〜」とか思ってると、あれもこれもってアイテム買っちゃって、結局お金足りひん(笑)。
東:あるある〜。欲しいものが多すぎる問題!
宮﨑:そうなると、1年通して買った服を振り返ったときに「ん?なんか軸がないな?」ってなる。結果、自分が目指してたスタイルに辿り着くまでにすごく時間がかかっちゃう。
東:確かに、「今年はこういうスタイルをやりたい」って明確に決めておくと、そこから外れにくい。ピンポイントで「このアイテム!」って選べるから再現にも近づきやすいですよね。
宮﨑:うん。僕はSNSとかで気になるスタイルの写真をたくさん保存してて、それをグループ分けするんです。「このジャンルの写真、多いな〜」って気づいたら、それが今年の自分の気分ってことやなって。で、その中で使われてるアイテムやサイズ感をひとつずつ分解していくんです。

東:ほうほう。
宮﨑:たとえば「このスタイルには太めのチノがいるな」とか、「あ、やっぱこのジャケットがキーアイテムやな」とか。そうやって優先度を明確にして、今一番欲しいアイテムを決めていく感じ。
東:なるほど、それいいっすね。僕も思うんですけど、自分がやりたいスタイルって、どんなアイテムでできてるのか分からないことって多いじゃないですか。「これってなんて名前のアイテムなんやろ?」とか、「どこで売ってるんやろ?」とか。情報を集めるのって案外難しい。
宮﨑:ほんまにそう。それを全部お客さん自身がやるのってしんどいと思うから、ふらっとお店に来てくれて、話しながら一緒に見つけていけたらいいなって思います。
東:うん、いっぱい相談してほしいです!自分らもいっぱい失敗してきた分、その経験をお客さんに還元できたら嬉しいですよね。
宮﨑:ですね!その失敗があったから今があるし、それを伝えていくのも僕たちの役割かなって思ってます。
〔第2章〕 自分の「好き」から始める、スタイリングの見つけ方
― ランウェイやスナップ、何を参考にしている?
東:僕はブランドが好きなんです。例えばPRADA。あの三角ロゴ、無駄がなくて洗練されてる感じがたまらない。車で言えば、ベンツを見て「やっぱかっこいいな、いつか乗りたい」って思うのと同じ感覚です。
「好き」って感情はすごくシンプルで、そこから興味が広がって、ルックを調べたり、ブランドの背景を知ったり。
だからまずは、自分が“何に惹かれてるのか”を知るのが大事やと思います。スタイリングが好きなのか、ヴィンテージが好きなのか、ブランドが好きなのか。そこが起点になって、色々と調べることが楽しくなると思います。

東: ちなみに、うちの母親が「aiko(歌手)みたいな格好したいけど、どうしたらええんやろ?」って言ってきて(笑)。「aiko 服装」とかで調べてみたら?って返したんです。
そしたら、知恵袋とかで「アメカジっぽい」とか出てきて、「へぇ〜、あれってアメカジなんや!」って新しい発見があったみたいで。
今の時代って調べれば何かしら情報が出てくるし、自分が気になったキーワードをシンプルに検索してみるって、すごく大事な一歩だなと思います。
― 情報が溢れる時代、何を選ぶ?何を信じる?
編集者:今ってSNSで情報が溢れていて、流行り廃りもすごく早いですよね。
だから、自分が「これかっこいい」と思ったスタイルが、本当にかっこいいのか?って不安になったり、自信が持てない人も多いと思うんです。
流行に敏感すぎて、外れるのが怖くなったりするんじゃないかなって。
宮﨑:確かにそういう不安、すごく分かります。けど、無理に“自分らしさ”を見つけなくてもいいと思ってて。最初は真似からでいいと思うんです。
トレンドのスタイルをまずは古着屋さんで試してみて、いいなと思ったものだけを取り入れていく。
それを繰り返していく中で「あれ、自分ってアウトドア系ばっかり選んでるな」とか、「このブランド好きかも」って気づける。
自分を知るには、まず興味を持って動いてみることが大事かなと。

で、もし何を買うか迷ったときは、自分の好きな写真を集めてみるのもおすすめです。
例えば、「今年はこういう色・サイズ感・雰囲気が気になるな」って思った写真をたくさん集めてグループ分けする。
すると、自然と一番気になってるスタイルが浮き上がってきます。その中で「これが今、一番優先度が高いアイテムだな」っていうのが見えてくる。
そうすれば、「買い物失敗したな〜」って後悔も減るし、お客様にもそういう買い物をしてほしいと思ってます。
― トレンドとの距離感と、自分の軸
東:「どう思われたいか」って、結構大事やと思います。
他と違う感じがいいのか、シンプルなお洒落を楽しみたいのか、モテたいのか(笑)。何でもいいから、自分がなぜお洒落になりたいかという“軸”があると、選び方も変わってくると思います。
東: トレンドを完全に外すのは不安やけど、ちょっと外すくらいなら楽しめる。
例えば、今MA-1が流行ってるとして、あえて短丈の別ジャケットにしてみるとか。1アイテムだけ変えるだけでも、見え方はガラッと変わるから。
編集者:お洒落って、自分を少しずつアップデートしていくものだと思うんですけど、そのたびに壁にぶち当たりますよね。
東:うん、もうぶち当たるしかない(笑)。
そのときに「なんか違うな」って感じたら、自分に向き合うタイミングかもしれないですね。
宮﨑:僕もいろいろ経験してきて、そういう時って結局、自分とちゃんと向き合うのが大事やなって思うんです。
試してみる中で、「これ意外といいかも」って瞬間があるから、それはちゃんと覚えておいてほしい。
たとえば、パンツのサイズ感は違ったけど、MA-1の雰囲気は気に入ったな〜とか。
そうやって、合うアイテムから次のスタイルを探していく。
僕はよくアイテム名と一緒に、ストリートスナップで検索しますね。
編集者:判断材料として「これいいやん! 」って思うには、色んなスタイルを見ていくしかないって感じですよね。
たくさん見ていくことで、自然と自分の好みや軸が見えてくるんじゃないかと思います。
東:正直、今でも不安な時は結構あります。
「これ挑戦やな〜」って思った時は、絶対Instagramとかで調べますね。
このスタイリング、実際にやってる人おるんかな?って。
宮﨑:いなかったら不安になるってこと?
東:そうですね。世間の見られ方はやっぱり気になります。
自分なりのかっこよさとかポイントがあって、「この感じやりたいけど不安やな、調べよ」って。
で、同じことしてる人がいると安心します。
今日も片足ブーツインしてるんですけど、最初は普通に穿いただけじゃ面白くなくて。 「片足ブーツインしてるモデルさんおったな」って思い出して、やってみたけどやっぱ不安でしたね(笑)
(一同笑)
東:Instagramで「このモデルさんもやってるから大丈夫!」って自分を安心させて、よし、行こう!って(笑)。やっぱ僕もまだまだ不安ですよ。
編集者:やっぱり、誰でもあるんですね(笑)
東:自分が「カッコいいな」「真似したいな」って思ったなら、そこに自信持ってもいいと思うんです。

宮﨑:ちょっとチャレンジしたい人にとっては、すごく安心する言葉やな。「不安になったら調べたらいいんや」って。
編集者:それって、どうやって調べてるんですか?
東:最初から調べるっていうよりは、「このスタイルええな〜」って保存しておいて、いざ真似する時に「これって大丈夫かな?」って再確認する感じですね。最近はTikTokとかで事前に見ていることも多いし。
編集者:これだけお洒落な人でも不安になるんやって、ちょっと安心しました(笑)
東:たぶん、みんながみんな自信満々でファッション楽しんでるわけじゃないと思うんですよ。だからこそ、ちょっとした安心材料があると挑戦しやすいし、自信にもなる。自分にとっての“安心できる材料”って、意外と大事やと思います。
〔第3章〕 これからの「再現」とスタイル
― 今後、再現してみたいスタイルやブランドは?
宮﨑:今気になってるのは、ルイ・ヴィトンのファレル・ウィリアムスですね。元々はミュージシャン、ラッパーだった人で、ストリートカルチャー出身なんですよ。だから、今のコレクションにもアメカジをベースにしたMIXスタイルが見えて面白いなって。
個人的に今ハマってるのは、90〜00年代のラッパーの私服スタイル。ナイロンジャケットに、太めのデニム、ブカブカのブーツとか、ちょっとラフなんやけど、そこにラグジュアリーなマフラーやバッグを合わせてくる。お金持ちだからこそできる、上品さの足し算というか。
その“緩急”のあるスタイリングがすごく魅力的で、今の気分に合ってる感じがします。MIXカルチャーっていうか、そういう掛け合わせに惹かれてますね。

東:前のパートでも話したように、僕は“見られ方”をけっこう大事にしていて。だから、自分のスタイルとして「飛ばしすぎる」のはちょっと違うなって思ってるんです。
そんな中で最近惹かれているのがPRADA。今のPRADAももちろんかっこいいんですけど、僕が最初に興味を持ったのはアーカイブの古着ですね。名作と呼ばれるような、今後も価値が上がっていくようなアイテムたちに魅力を感じていて。
最近も2000年のPRADAのバッグを買ったんですけど、実際に目にして手に取ったとき、胸が高鳴って。ああ、これが高揚感か…って(笑)。

そこからどんどんLOOKを深掘りしていく中で、「あ、今の自分の気分とPRADAってすごく合うかも」って思うようになったんです。
派手じゃないのに洗練されてて、大人っぽくて、ミニマムでかっこいいスタイル。それがしっくりきた。
例えば、上はコンパクトめで、下はスラックスとか。アイテム単体で見たらシンプルなんですけど、サイズ感のバランスだけで「こんなにかっこよく見えるんや」って。普段よくある服でも、サイズの選び方ひとつで印象って全然変わるんやなって思いました。
そういう“気づき”を与えてくれたのが、PRADAの90年代〜2000年代のスタイリングでしたね。
東:それこそ、これまでは「全身黒なら靴も黒!」って思い込んでたんですけど、PRADAのLOOKを見た時に、全身黒のコーデに足元だけブラウンのシューズを合わせてて。
「え、黒じゃなくてもいいんや!」って。
その瞬間、自分の中の固定概念がガラッと崩れたんですよね。
そういう発見って、驚きもあるし、逆に「これでいいんや」って正解をもらえたような安心感もあるんですよ。LOOKって、ただの参考じゃなくて、自信を持つための材料にもなると思うので、ぜひ一度見てみてほしいなと思います。
― これからの古着のスタイリングはどう変わると思う?
宮﨑:5年前くらいまでは、古着オンリーで全身コテコテのスタイルが多かったんですよね。僕自身もそうでしたし。 でも最近は、お客さんと話していてもSNSを見てても、古着と新品をうまくミックスしてる人が増えてる印象があります。新旧の組み合わせがすごく自然で、だからこそ古着が前よりもっと身近な存在になってきてるんじゃないかなって思いますね。
東:スタイリングって、単にどう着るかだけじゃなくて、どう選ぶか、どんな気持ちで服に向き合うかも含まれてると思っていて。
安くて、かっこいいとか、かわいいって思えるものって、もう今めちゃくちゃ世の中に出回ってると思うんですよ。
だからこそ、これからは「特別なもの」としての価値を持てるかどうかって、大事になってくるんじゃないかなって。

例えば、アイテムそのものがいいっていうのはもちろんなんですけど、
「このお店で買った」とか、「あの店員さんにすすめられた」とか、
背景とか人の思いが乗っかることで、その服の価値がぐっと上がると思っていて。
逆に言えば、アイテムにちゃんと価値をつけられる人がいないと、今の時代ってなかなか売れないんじゃないかな、って。ちょっと厳しい言い方ですけど。
でも、そうやってちゃんとストーリーとか愛情がこもってる服って、
ずっと大事にしたくなるし、きっと一番「愛を持てるアイテム」なんじゃないかなって思うんですよね。
もう古着って、「安くて買えるもの」っていうより、ちゃんと価値のあるものとして見られてる時代になってるんじゃないかな、って僕は感じてます。
編集者:「スタイリング=着こなし」って思いがちですけど、東さんの話を聞いてると「どう選ぶか」とか「どう服と向き合うか」まで含めてスタイルなんだなって気づかされました。
今の自分の気分とか、誰とどこで出会った服かとか、そういう背景まで含めてファッションって面白いですよね。
東:質問とはちょっと逸れて、少し壮大な話になっちゃったんですけど(笑)。
スタイリングの軸だと、ファッションのトレンドを簡単に取り入れられる時代だからこそ、「古着ならではの一点もの」という特別感が、トレンドに少し飽きたとか、そこから抜け出したいという人の気持ちにフィットするのかなと思っていて。
今のトレンドももちろんいいけど、自分の個性も出したいと思ったときに、その手助けをしてくれるのが古着なのかなと。
当時にしか作れなかったようなデザインや生地感、経年変化で生まれる風合い ——そういうものを通して、自分らしい“味付け”をスタイリングに加えられる気がします。
宮﨑:トレンドっぽいスタイルを古着で表現することもできますし、そう考えると、古着ってどちらにも振れるんですよね。

― これから古着の楽しみ方をアップデートをする人に向けて、「再現」を楽しむためのアドバイスは?
東:シンプルに、「自分には似合わない」って決めつけて諦めちゃう人が多いなって、接客をしていて感じるんですよね。でも、古着って“自己を満たすためのツール”のひとつだと思うんです。
だからこそ、自分に自信を持つための手段として、古着に頼ってみてほしいし、素直な気持ちで挑戦してみてほしいなと。
あと、1人で悩まなくて大丈夫です。そのために販売員がいるので。
JAMは、そこに本気で力を入れてるお店だと思っているので、気軽に相談してもらえたら嬉しいですし、JAMの店員が言っていることを、ちょっと信じてみてほしいなって思います。
アドバイスというより、「一回JAMに来て、相談してみてほしい」と思っています!
そういう話ができる古着屋だと、僕は思っています。
デザイナーズ古着を中心に取り扱う新ブランド
「FAY by JAM」
6/13(金)JAM原宿店内にてOPEN
