【初心者必見！】機能をまとう服ゴアテックスとは？特徴・魅力・ケア方法まで徹底解説！！

「雨の日でも、格好良くいたい──。」

そんな欲張りな願いを叶えてくれる素材が、GORE-TEX（ゴアテックス）です。
アウトドアギア由来の“機能素材”というイメージが強いけれど、実はタウンユースでもその価値は高く、古着市場でも根強い人気を誇っています。

ゴアテックスの肝はシンプルでわかりやすい。
外からの水は通さないのに、体から出る蒸れ（＝湿気）は外へ逃がす──この相反する機能を両立させることで、雨の日の快適さと動きやすさを両立します。

古着市場で見るゴアテックスは、単なる“機能服”ではありません。
90年代〜2000年代の名作マウンテンパーカーは、使い込むことで独特の表情をまとい、タウンでも映えるシルエットやディテールが魅力です。

この記事ではゴアテックスの基本的な仕組みから、メンテナンス方法等までを、詳しく丁寧に解説していきます。

↓GORE-TEXが採用されているミリタリーアイテム、ECWCSについてのマガジンです！こちらも古着を楽しむうえで知っておいて損のないアイテムなので、ぜひ本記事とご一緒に読んでみてください！

ECWCSについて徹底解説。梅雨こそ機能性を意識したコーデ！

[お知らせ]

GORE‐TEX®を生み出した「ゴア社」とは

GORE-TEX（ゴアテックス）を開発したのは、アメリカ・デラウェア州に本社を構える「W.L. GORE & ASSOCIATES（ゴア・アソシエイツ）」という企業です。
1958年に設立され、もともとは電子機器や医療分野で使われる高機能素材を手がけていました。

その後、1976年に防水透湿素材「GORE-TEX®ファブリクス」を発表しました。
この素材が登場したことで、アウトドアウェアの常識が一変します。
それまで「雨を防ぐ＝蒸れる」が当たり前だった中で、“濡れずに、蒸れない”という革新を実現したのがゴア社でした。

現在ではアウトドアブランドだけでなく、アパレルやスニーカーなどファッションの分野にも広く採用されており、
「高機能素材＝GORE-TEX」というほど、世界的な信頼を得ています。

GORE‐TEX（ゴアテックス）ってどういう素材？

簡単に言うと、ゴアテックスは「水は通さないのに、内側の蒸気は外へ逃がす」という相反する機能を両立する素材です。
主に次の２つの仕組みで成り立っています。

メンブレン（ePTFE）

目に見えないほど小さな穴持つ膜が水滴の侵入を防ぎつつ水蒸気は通すので蒸れにくくなっています。

1平方センチあたり14億個のかなり細かい穴で、一つの穴の大きさは、水滴の1/20000で水蒸気の分子の約700倍となっています。

DWR（耐久性撥水加工）

表面に施された撥水加工により、雨粒が生地の表面で玉状になって流れ落ちやすくする役割です。

さらに縫い目にはシームテープが貼られ、防水性を確保します。これらの組み合わせで「防水×透湿」を可能にしています。
※シームテープ・・・テントやレインウェアなどの防水製品の縫い目から水や風が侵入するのを防ぐために、内側から圧着する防水テープ。縫い目を補修したり、撥水性を高めたりする目的でも使用される。

構造の違いで変わる、着心地と性能

一口にゴアテックスといっても、実はその作り方にはいくつかのタイプがあります。ここからは、「2レイヤー」「2.5レイヤー」「3レイヤー」「5レイヤー」と呼ばれる代表的な構造を順に見ていきましょう。

2レイヤー

表地、メンブレンの2枚を一緒にラミネートした生地です。
この生地単一ではウェアに加工不可能となっています。

《長所》
・出来上がりの生地が柔らかく軽い（生地のみの状態）
・安価

《短所》
・耐久性、耐水圧、浸湿性が低い

2レイヤーは出来上がりの生地の柔らかさから着心地が良く
3レイヤーに比べると安価なので、エントリーモデル等に使用されることも多いです。
アウトドアブランドであればタウンユース仕様に採用してある事も多いが、耐久性、耐水圧は3レイヤー程高くないのでハードな使用には向いていません。

2.5レイヤー

2レイヤーの生地の裏に特殊加工を施すことで裏地を使わずに単体で使用可能な生地です。

《長所》
・出来上がりの生地が柔らかくて軽い
※生地のみ場合は2レイヤーと3レイヤーの中間ですが、製品になった場合は裏地を使わなくていい2.5レイヤーが一番柔らかく、軽くなることもあります。
・携行性に優れる

《短所》
・耐久性、耐水圧、透湿性が低い(3レイヤーと比べて)

特徴的には3レイヤーと2.レイヤーの中間ですが、2.5レイヤーの最大の特徴は軽さと携行性です。
裏地がなくても単一の生地で使用できるので、製品として非常に軽く、柔らかく仕上げる事が可能となっています。
また、非常にコンパクトに収納可能で、その特徴を活かし、遠征の際の荷物の中に入れておくと突然の雨や冷え込みの時に安心です。

3レイヤー

表地、メンブレン、裏地の3枚を一緒にラミネートした生地です。
この生地単一でウェアに加工可能となっています。

《長所》
・耐久性、耐水圧、透湿性が高い

《短所》
・出来上がりの生地が硬く重い
・高価

レインウェアの基本でありながら、耐久性、耐水圧の高さもありハイエンドクラスで使用される事が多いです。
2レイヤーや2.5レイヤーに比べると生地は硬く、重くなるがハードな仕様を想定するならば断然3レイヤーがおすすめです。

5レイヤー

３レイヤーの上にさらにメンブレンと表地を重ねてラミネートした生地です。
この生地単一でウェアに加工可能となっています。

《長所》
・耐久性、耐水圧が高い（特にピンホール等の外的要因への耐久性）

《短所》
・出来上がりの生地が硬く重い
・高価

重ねてある枚数からも分かる通り、高い耐久性が特徴です。
ただ、生地が硬く重いので着心地は良くなく、製品としても高額になります。
ウェーダーに採用される事の多かった生地だが、最近は着心地の悪さと高額になる事から使用しているモデルは少なくなっています。
また、生地が硬いのでピンホール等の外傷には強いが、硬い生地が原因で特に表地側に『角』が発生しやすく、そこが擦れて漏水の原因になりやすいので注意が必要となっています。

ケア（洗濯・撥水の再生・保管）

ゴアテックス本体の「膜」自体は丈夫ですが、表面のDWRは使っているうちに劣化します。
日常のケア次第で見た目と機能がかなり長持ちします。

洗濯

ステップ１

・製品についてる洗濯表示を確認し、必ずその内容に従う
・すべてのファスナーとポケットを完全に閉じる
・緩んだフラップやストラップはしっかりと留める

ステップ２

・洗剤は、衣料用液体洗剤を少なめに使用し、粉末洗剤、漂白剤、柔軟剤、しみ抜き剤の使用は避ける
・洗濯機に入れて、40℃以下のぬるま湯で洗濯
・すすぎは２回以上しっかりと、脱水は短時間で軽く行う
※ポイントはよくすすぐこと。洗剤を生地に残さないように！

乾燥

ステップ１

・十分すすいだ後、水をきったら、軽く形を整えて日陰の吊干しでしっかりと乾かす
・乾燥機を使用する場合は、中温で乾す
※高温は避ける！

ステップ２

・ウェアが乾いたら、DWR（耐久性撥水加工）のために、さらに乾燥機を温風にして20分乾燥させる
・もし乾燥機がない場合は、スチームなしで低温であて布をしてアイロンをかける
・ウェアのDWR（耐久性撥水加工）が弱っていると感じる場合は、このステップを繰り返していく

撥水剤の使用

ステップ１

・洗濯後に撥水回復処理（乾燥機またはアイロン）を行ってもウェアの表面が水を弾かなくなった場合は、撥水の再加工を行う
・撥水剤は市販のウォッシュインまたはスプレータイプを使用する

ステップ２

・市販の撥水剤を使用した後、さらに乾燥機を温風で20分間乾燥させる
・乾燥機を使用せずにアイロンを使用する場合は、スチームなしで低温であて布をする

保管のコツ

・風通しの良い場所で保管、湿気の多い場所はカビの原因になる
・長時間折りたたんだままにすると折りジワで劣化する場合があるので、可能ならハンガーで保管する
・汚れたまま長時間放置はNG！特に食べ物や油汚れは、DWRの劣化を早めます

まとめ~街で使えるハイスペック~

しっかりケアしてあげれば、ゴアテックスジャケットは本来の性能を取り戻してくれます。
それがこの素材の面白いところで、機能が落ちていくのではなく、《手をかけた分だけ蘇る》感覚に近いです。
少し手間はかかるけど、そのぶん着るたびに「やっぱり頼れるな」と思わせてくれる存在です。

ゴアテックスと聞くと、どうしても「登山」や「アウトドア」のイメージが強い思います。
けれど実際のところ、その性能が一番発揮されるのは日常の中だったりするのです。
通勤の雨の日、ライブ帰りの夜風、沖縄旅行での台風、
そんな街のリアルな天気に強いのが、この素材の本当の魅力だと思います。

雨を弾き、風を通さず、それでいて蒸れにくい。
このバランスが、いまのファッションシーンにどハマりしていると言えます。
たとえばナイロンジャケットの軽快さに、テックウェア的な機能をプラスしたような感覚です。
動きやすくて、気取らないのに、ちゃんと計算されてる。

そして何より、天候に左右されない安心感って、実は街で一番重宝します。
出かけるときに天気を気にしなくていいからです。
服選びに迷ったとき、とりあえずゴアを羽織っておけば間違いないと思います。
それくらい万能で、日常を支えてくれるギアでもあります。

ケアして長く着るという考え方は、単なるメンテナンスじゃなくて、このハイスペックな素材を自分の生活に馴染ませていくという行為にも近いです。
《アウトドアのために生まれた技術》を、街で着る。
そこには、機能をファッションに取り込む今っぽさと、モノを大切に使い続けるカルチャーの両方が息づいていると思います。

つまり、ゴアテックスは「山の服」ではなく、街を快適に過ごすためのハイスペックウェアだと言えます。
ケアを重ねていくことで、性能も見た目も自分のスタイルに馴染んでいきます。
一度その便利さを知ってしまえば、もう普通のナイロンには戻れません。
それが、ゴアテックスの真価だと強く思います。

ケアを続けながら長く着ること。
それは機能を守るためだけじゃなく、《モノと向き合う時間を楽しむ》ことでもでもあります。
新品の時よりも、何度も袖を通した今のほうが、自分にフィットする。
そんなふうに感じられるのが、ゴアテックスの魅力であり、古着の面白さでもあります。
長く着ることで見えてくる良さがあるでしょう。
だからこそ、ケアをする手間さえも、その服の一部として楽しみたいと心から思うはずです。