古着やヴィンテ―ジのアロハシャツは、ハワイ製・アメリカ製のアイテムが多く存在します。
現地ならではの生地やボタンなどは、クオリティーが非常に高いです。
その背景には、実は日本の歴史と文化が深く関わっています。
今回は、そんなアロハシャツ誕生の歴史から代表的な柄(パターン)、ヴィンテージのポイント、おすすめブランド、コーデに至るまで余すところなく、ご説明します。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
アロハシャツとは?-歴史の起源は『着物』だった-
アロハシャツの起源は『着物』だったという説が最も有力だと言われています。
当時、ハワイの人々は、日本を認知しておらず、次郎吉との出会いをきっかけに知ることになります。
その後、交流が盛んになり、サトウキビ農業の労働者として100名以上の日本人がハワイへ移住します。
その際、持ち込まれた着物が、気候に適さなかったため、現地の『パラカ』という開襟シャツを参考にして、誕生したのがアロハシャツと言われています。
1904年、ハワイに移住した宮本長太郎という人物が、日本の反物を使ってシャツを製作する『ムサシヤ』という服飾店をホノルルに創業します。
そして1915年に、息子の孝一郎(写真1枚目)が『ムサシヤ・ショーテン(英名:ムサシヤ・ザ・シャツメーカー)』と会社名を改め、1920年頃から新聞に毎週広告を掲載するようになります。
その広告で使用されためちゃくちゃな文法の英語と下駄をはいて笑っている日本人のイラスト(写真2枚目)が、インパクトを与え、米国本土だけではなく、世界各地からも注文が入るようになったのです。
ムサシヤ・ショーテンは、商社である藤井順一商店に売却され、『ムサシヤ・ショーテン・Ltd.』(写真3枚目)と改名します。
その後、1935年のホノルル・アドバタイザー紙に初めて”アロハシャツ”という呼び方で広告に登場することになります。
ハワイは客船の就航や、航空路の発達によって、観光地として人気を集め、アロハシャツは土産物としての需要が大きく高まることになったのです。
1937年、中国系商人のエラリー・チャン氏が”アロハシャツ”という名称を商標登録し、20年間にわたって独占利用を認められ、その商標登録は現在も誰かが保持しているそうです。
そのため、正式名称は”ハワイアンシャツ”で、”アロハシャツ”という呼称は、実は商品名になります。
アロハシャツの代表的な柄(パターン)6選
アロハシャツの中でも、特に代表的な柄を6つピックアップしてご紹介します。
1.オールオーバーパターン(総柄)
アロハシャツの最もスタンダードな柄です。
全体的に同じ模様が散りばめられているのが特徴です。
古着やヴィンテージアイテムでも、人気が高く、こちらはハレイワが柄のモチーフとなったアロハシャツです。
2.ハイビスカス(花柄)
ハワイでは、ハイビスカスは神聖なものとして扱われています。
そのため、結婚式や葬式など、フォーマルウェアとしても着用されています。
3.パームツリー(ヤシの木柄)
ヤシの木は花・葉・幹・実、全てを使う事ができる数少ない植物のため、命や家族を守る植物として『守護』や『家族愛』の象徴と考えられています。
4.ボーダーパターン(縦縞柄)
ボーダーパターンは、40年代後半から登場し、50年代に普及しました。
柄は縦に並べられており、主に植物をモチーフにした絵柄が多いです。
このデザインのヴィンテージアロハシャツは、現在においても復刻されほど、人気の柄となっています。
5.リーフ(葉っぱ柄)
リーフ柄の中でも、『偉大なキャリアのスタート』を意味する”ウル(パンノキ)”という葉っぱの柄です。
ハワイでは、お祝い事や事業を開始する際に着用されます。
その他にも、『結ぶ』という意味を持ち、結婚式によく着用される”マイレ”の葉や『万物の終わり』を意味するため、葬儀の場での着用が相応しい”ラウハラ(パンダナス)”の葉などの柄があります。
6.ホリゾンタルパターン(水平柄)
水平線(ホライゾン)が描かれていたことが名称の由来になっています。
絵柄の上下が明確に決められていることが特徴です。
特にヴィンテージアロハシャツの中では、古着市場に出てくる数が少なく、大変希少な柄と言われています。
ヴィンテージアロハシャツの注目ポイント
ヴィンテージアロハシャツを購入する際に注目していただきたいポイントをご紹介します。
・素材がレーヨン、またはシルクであること
【レーヨン素材】
レーヨンはポリエステルや綿よりも発色が鮮やかであることから、アロハシャツのデザインを最も引き出せる素材です。
ヴィンテージや古着のアロハシャツの中でも、高価と言われています。
【シルク素材】
シルクは高級素材として知られ、ヴィンテージのシルク素材のアロハシャツは大変希少です。
天然素材のため肌触りがよく、ヒリヒリとする日焼け後の肌に触れてもあまり痛くないです。
・ボタンの素材
【ココナッツボタン】
ココナッツボタンは、ヤシの実から作られています。
自然な風合いがアロハシャツのデザインと合い、今では定番のディテールとなっています。
ヴィンテージのアロハシャツの中でも非常に人気が高いです。
見た目が似ているもので、竹で作られたバンブーボタンが存在します。
1950年代の和柄やコットン製のヴィンテージアロハシャツに使われていましたが、今では滅多に見ることのできない希少なボタンです。
【シェルボタン】
シェルボタンは、天然貝のやわらかな色合いと、独特の光沢感が特徴のボタンです。
シェルボタンの中にも、黒、白、茶、虹色など様々な風合いのものが存在し、アロハシャツマニアのこだわりのポイントの一つです。
【古銭ボタン】
古銭ボタンは、金属製で、表面に古銭をあしらったデザインが施されています。
その他にも戦士の横顔、紋章などの柄がデザインされたものも存在します。
1950年代頃から登場し、アロハシャツに高級感を演出するために使用されたと言われています。
アロハシャツの代名詞ブランド『REYNSPOONER(レインスプーナー)』
『Reyn Spooner(レインスプーナー)』は、1956年にハワイで誕生したブランドです。
約2000種類の手描きによる柄や、ヴィンテージのデザインを表現するために、プリント生地を裏返して使用するなど革新的な方法で人気を集めています。
今では、アロハシャツの代名詞的存在として知られています。
レインスプーナー最大の魅力が生地と柄です。
生地は”スプーナークロス”と呼ばれるオリジナルのものです。
コットン55%・ポリエステル45%の混紡で、着心地とシワのなりにくさが特徴です。
洗濯を重ねても色落ちしづらく、イージーケアで長年愛用できるのも人気の一つです。
柄は、“ラハイナセーラー”と呼ばれるブランドのシンボル的なパターンです。
マウイ島のラハイナ村の漁師が愛用していたバンダナの柄で、ハワイゆかりの州旗、州花、州鳥、州木が格子状にデザインされています。
レインスプーナーは、タグにも特徴があり、年代によってデザインが変化しています。
90年代には、写真のようなビキニを着た女性がデザインされた、通称“ビキニタグ”が付いています。
その他、“ダイヤモンドヘッドタグ”や80年代のヴィンテージアロハシャツには“ヌードタグ”と呼ばれるデザインなどがあります。
古着屋にお買い物を行った際は、タグにも注目して頂けると年代を見分けることができ、アイテムの歴史も感じて頂けると思います。
アロハシャツの古着屋JAM一押しブランド
アロハシャツは、上記で紹介したレインスプーナー以外にも多くのブランドが手掛けています。
中でも、古着屋JAM一押しのブランド3選をご紹介します。
モードの民主化を進めた
Pierre Cardin(ピエールカルダン)
デザイナーのピエールカルダンは、1946年のクリスチャンディオールの立ち上げ時に参加し、47年の『ニュールック』発表時のコレクションでは、テーラードの主任を務めていました。
1950年のアトリエ立ち上げ時から、その才能は注目集めており、革新的なファッションを次々に発表していき、1960年代~1970年代にかけてファッション業界を一世風靡しました。
その高度なテーラリング技術とデザイン性はアロハシャツからも感じていただけます。
南国ムード漂う
Tommy Bahama(トミーバハマ)
1993年、トニー・マルゴリス、ボブ・エムフィールド、ルチオ・ダッラ・ガスパリーナの3人によって創立されたアメリカ生まれのブランドです。
今では世界で130以上もの店舗を展開しています。
アイランドライフをインスピレーションに製造されるアロハシャツはリラックス感が漂い、着るだけで南国の気分を味わえます。
オールドハワイを感じられるブランド
CAMPIA
CAMPIAのアロハシャツは、古き良きハワイを感じて頂けるデザインが人気のブランドです。
定番のリーフ柄なども、比較的落ち着いた配色のため、アロハシャツをお持ちでない方にもおすすめのブランドです。
アメリカントラディショナルの代表
Ralph Lauren(ラルフローレン)
ラルフローレンは、ブルックスブラザーズのネクタイ売り場で、セールスマンとしてスタートしました。
その後、1968年に独立し、メンズブランドとして『ポロ ラルフローレン』を立ち上げました。
ラルフローレンの代表的なアイテム『ボタンダウンシャツ』と同様にアロハシャツも高いクオリティーとなっています。
定番アウトドアブランド
COLUMBIA(コロンビア)
アメリカ、オレゴン州ポートランドで誕生したのが、アウトドアブランドCOLUMBIA(コロンビア)です。
雄大な山や湖など、豊かな自然に恵まれた地域からインスピレーションを受けて生産されるアロハシャツは必見です。
その他、同じアウトドアブランドでは、『Patagonia(パタゴニア)』の“pataloha(パタロハ)”などがおすすめです。
また、ヴィンテージアロハシャツでは、ハワイの英雄と呼ばれているデューク・カハナモクが手掛けたブランド『DUKE KAHANAMOKU(デューク・カハナモク)』が最も有名です。
このブランドは、古着やヴィンテージのアロハシャツブランドの中でも、コレクターが多く存在し、絶大な人気です。
ぜひ、チェックしてみてください。
アロハシャツのコーデをご紹介
古着屋JAMがオススメするアロハシャツのコーデをご紹介します。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
コーデにアクセントをプラス
Tシャツ1枚だとシンプルな印象ですが、アロハシャツを羽織っていただくだけで、コーデにアクセントを加えてくれます。
ブラックカラーは大人カジュアルに◎
ブラックベースのアロハシャツは、他のアイテムとの色味を合わせれば、柄物でも落ち着いた印象のコーデに仕上がります。
メリハリのあるコーデ
ゆったりとしたシルエットのアロハシャツもボトムスにタックインして頂ければ、シルエットにメリハリが生まれ、こなれ感を演出してくれます。
ラフな装いにも清潔感
古着屋JAM桃谷店 南のコーデをご紹介します。
クラッシュデニムにアロハシャツを合わせれば、清潔感のあるコーデになります。
Tシャツとのレイヤードは好相性
古着屋JAM京都店 本松のコーデをご紹介します。
インパクトのあるアロハシャツに大人の雰囲気をプラスするには、ロングTシャツとのレイヤードスタイルがおススメです。
アロハシャツのお気に入りは見つかりましたか?
いかがでしたか?
アロハシャツは、ハワイの民族衣装というイメージをお持ちだった方も、起源に”着物”が関わっていたことで、日本の和服のすばらしさも感じていただけたのではないでしょうか。
素材、ボタン、柄などそれぞれが持つ意味を知って頂くことで、アロハシャツの奥深さを感じていただけたと思います。
古着屋JAMの商品は、全てが当社のバイヤーによって海外で買い付けられた一点物。販売するにあたって、入念なケア・検品を施しておりますので、お客様には安心してご購入いただけます。
アロハシャツは同じ絵柄、パターンのものが少ないため、気に入ったものがあれば、すぐにチェックしていただくことをおススメいたします!