みなさんこんにちは!古着屋JAM京都三条店の坂井です。
12月も中旬に差し掛かって街も人もクリスマス気分ですね。
前回のブログではクリスマスらしさも感じられるノルディックセーターについてご紹介しておりますので気になる方はぜひ見てみてください!
今回はこれからの季節に大活躍するセーターやスラックス、ジャケットの素材「ウール」の種類について徹底解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
目次
冬に最適な素材「ウール」とは
ウールとはそもそも羊毛、羊の毛を指し、品質表示タグなどで見られたことがあるかと思います。
ただ、厳密には羊以外の動物の毛もウールと表記されることはあります。
しかし、アルパカやアンゴラ、カシミヤなど、羊毛以外はそれぞれの名前で表記されることが多いので、ウールと表記されているもののほとんどが羊毛です。
ウール素材の特徴
ウールの特徴をメリットとデメリットに分けてご紹介します。
メリット
・保温性に優れている
ウールは高い保温性があるのが特徴です。
クリンプと呼ばれる縮れにより繊維が複雑に絡み合い、繊維内に空気を含むことで熱が伝わりにくい構造になっています。
そのため、冬は暖かく保温してくれますし、熱伝導性が低いため夏でも涼しく着られます。
・型崩れしにくく、シワができにくい
ウールは伸縮性にも優れています。繊維が複雑に絡みあう構造のため、引っ張ると伸び、離すともとに戻ります。素材自体の伸びがよく、厚手の生地でも着脱しやすいのもメリットです。
ウールは高い弾力性と反発性を持つため型崩れしにくく、シワもできにくい素材です。シワになってしまった場合も、アイロンのスチームなどで湿気を含ませるともとに戻ります。
・吸放湿性に優れている
ウールは吸放湿性に優れており、汗を吸収し発散させます。その吸湿性はコットンの2倍ともいわれているほどの高さです。
吸放湿性とは文字通り湿気を吸収して放出する性質のことです。
ウールは湿気を吸収すると同時に熱を放出させるため夏でもドライな着心地で快適に過ごせます。
・汚れに強い
汚れが付きにくい点もメリットです。
繊維自体の保水性が高いために静電気が起こりにくく、チリやホコリを寄せ付けにくい性質があります。
また、ウールの繊維を覆っているエピキューティクルという膜が水を弾くため、雨や泥水の汚れも付きにくくなります。
デメリット
・縮みやすく毛玉になりやすい
ウールのデメリットは、縮みやすく毛玉ができやすい点です。
誤った方法でお手入れをしてしまうと、ウールがフェルト化し、硬く縮んでしまうことがあります。
フェルト化とはウールが濡れた状態で揉まれて繊維が絡み合い、目が詰まって生地が縮んだり硬くなったりする現象です。
縮みや毛玉を防ぐにはドライクリーニングに出すことをおすすめします。製品の洗濯表示を確認し、適した方法でお手入れをすればフェルト化や毛玉の発生をふせぐことができます。
・虫食いにあう可能性がある
ウールは先ほども触れましたが羊の毛から作られている動物性の天然繊維です。
そのため、虫が繊維を食べて生地が虫食い被害にあう恐れがあります。
服についた食べこぼしや皮脂の汚れをそのままにしておくと被害に遭いやすいため、着用後はきれいに汚れ等を落とすようにしましょう。
防虫剤を使用したりアイロンがけをしたりすることも有効です。
・水に弱い
ウールは水に弱く、基本的に水洗いができなくなっています。
その大きな理由は先ほどでてきたフェルト化が起こりやすくなるためです。
ウール素材の表面は「スケール」という、うろこ状の並びとなっていて、ウール素材が水に濡れるとうろこ状の表面が開いて絡みやすい状態になります。
この状態で揉みこむと繊維同士が絡み合ってしまい、縮んでしまいます。
ウールの歴史
ウールの歴史は想像以上に長く、牧羊が始まったのは紀元前6000年頃、今から約8000年も前のことです。
紀元前2200年頃にメソポタミア南部のカルディア人が刈り取った羊毛で初めて毛織物を作ったといわれています。
その後、古代エジプトやギリシャ、ローマへと伝わり、より良質の羊毛を取るため、人々は羊の品種改良に努力を重ねました。
よく見るウールマークとは?
ウールマークは羊毛の生産国が中心となって1964年にウール製品のハイクオリティを象徴するマークとして打ち出したのが始まりです。
当時は安価な合成繊維が市場に出回り始めており、ウールの消費量が落ち込んでいた時期だったようです。
そこで、ウールそのものが持つ高い保温性や吸放湿性、伸縮性、弾力性、撥水性などを広く知ってもらうと同時に、技術開発やファッション情報を充実させることで、ウール製品の向上をめざしました。
現在では世界140ヵ国の登録商標であるため、世界でもっとも広く認知されているウールのシンボルとなっています。
ウールマークとは、羊毛の中でも新毛を使った物で、品質基準をクリアした物に与えられる保証マークのことを指します。
ウールマークには3つのタイプがあります。これらはウールと他の素材の混率で区別されています。
「ウールマーク」は100%新毛である製品だけが付けることが許されています。
50%以下の場合には「ウールマークブレンド」30〜50%未満の場合には「ウールブレンド」と呼ばれます。
ウールの種類
ウールは羊の毛を意味し、色々な種類があります。
ざっくりと分類するとこのようになります。
中毛種
比較的繊維が短い品種の毛(ハンブシャー、サウスダウンなど)
長毛種
繊維が長く光沢のある品種の毛(リンカーン、ボーダーレスターなど)
雑種羊毛種
上質なウールが取れるように交配した羊の羊毛(コリデールなど)
同じウールでも種類によって触り心地や着心地などが変わってきます。
ここからは羊毛と、ヤギやウサギなど、他の動物の毛から作られるウールもあわせて10種類ご紹介いたします!
ウール・種類別10選
シェットランドウール
シェットランドウールとはスコットランドの北、シェットランド諸島に生息するシェットランドシープからとれるウールを指します。
シェットランドシープは羊の中でも最小の品種として知られています。
厳しい冬の寒さや湿度の高い天候、それに海草を副食に採るなどの飼育環境によって柔らかい毛質をもつのが特徴です。
シェットランド種の羊は生息数がかぎられ、そのうえ1頭あたりから得られる産毛量が少ないです。
シェットランドウールは厳しい環境の中で自らの身を守るために強く耐久性があり暖かい繊維であることが大きな特徴です。
※ウールセーター (無地) RAB548226 ¥7,590 (tax in)
ラムウール
ラムウールは生後5~7ヶ月前後までのメリノ種の仔羊から刈り取られる羊毛を指します。
ウールよりもさらに繊維が細いため、光沢がありしなやかです。保温性も高いという特徴があります。
ウールと比較すると軽くてあたたかく、柔らかく着ていても疲れにくいことからコートの裏地やセーター、マフラーの素材として幅広く使われています。
※ウールセーター (無地) RAB545031 ¥6,490 (tax in)
メリノウール
メリノウールは「メリノ種」から取れる羊毛です。
羊毛の中で最も上質な品質を多く産出しているそうです。
繊維が細く、一般的なウール素材よりも柔らかいのが特徴で、繊細な繊維は柔らかく、肌触りがいいので着心地の良さを実現してくれています。
※ウールセーター (無地) RAB561767 ¥6,490 (tax in)
オーストラリア・メリノ
オーストラリア・メリノは、世界各地に広く分布し、いわゆる羊の代名詞的存在の羊です。
スペイン・メリノの交配を重ね、オーストラリアの気候風土、環境に適応できるように改良した品種です。あらゆる羊の中で最も白く、最も細く、かつ捲縮が多いとされています。
さらに、その繊維は長くて丈夫で、しなやかで、衣料用に最も適した羊毛を産出していると言われています。
ニュージーランド・メリノ
ニュージーランド・メリノは比較的雨が少なく、牧草に恵まれている南島のカンタベリー、オタゴ、ネルソンの丘陵地帯で広く飼われています。
現在ニュージーランドで飼育されているメリノは、長くて細い脚を持った軽量のメリノが多いです。
他の羊に比べて成長が遅いことや出産率が低いことなどの特徴を持っています。
モヘア
アンゴラ山羊(Angora Goat)の毛からつくられています。
滑らかで白く美しい光沢を持った繊維でトルコが原産です。上質な光沢感から高級素材のひとつとされており、夏の紳士服地の定番でもあります。
90’s グランジファッションの再燃で再び注目されてきている素材で、カーディガンのイメージが強いですね。
※ウールセーター(柄) RAB545150 ¥8,690 (tax in)
アンゴラ
先ほどご紹介したモヘア(アンゴラ山羊)のように長く白い毛が育つことから「アンゴラ・ラビット」と名づけられた兎です。
フランスを中心にチェコやドイツ、中国、日本などで飼育されています。
その毛は手触りがやわらかく、軽く、パステルカラーの発色が良いそうです。
軽く、手触りのふわふわとした製品ができるのが特徴です。
※ウールセーター (無地) RAB555342 ¥8,690 (tax in)
カシミヤ
カシミヤ山羊(Cashmere Goat)の毛からつくられます。
カシミヤ山羊は中国や中央アジア、イラン、イラク、トルコ、チベットなどに広く生息していますが、中国北西部で最も多量に産出されています。
その繊維は細く、柔軟で、独特のぬめりのある手触り、深みのある色彩などの特徴を持っています。
※厚手テーラードジャケット RAB549351 ¥8,690 (tax in)
リャマ
リャマはラクダ類、ラマ属に属する動物で、リャマから取られる毛を指します。
同属にはアルパカ(Alpaca)、ビキューナ(Vicuna)などがいて、いずれも南米太平洋側、海抜3,600m以上の高地に棲息しています。
この中でリャマは一番大型の動物であり、その毛は細いものから太いものまでが混生しています。
アルパカ
アルパカラクダ類のラマ属に属する動物の毛です。
南米ペルーの中部から南部、およびボリビアなどに分布していて、リャマと同じく海抜3,600m以上の高地に生息しています。
やわらかい毛と刺し毛の両方の特性を持っており、手触りは滑らか、弾力と絹様の光沢を持ち、繊度が揃っています。
その毛は若いうちは細く、歳をとるにつれて太くなっていくそうです。
※ウールセーター (柄) RAB563683 ¥6,490 (tax in)
キャメルヘア
キャメルヘアとはフタコブ・ラクダから採取される毛のうち、特に刺毛の下に生える細くて柔らかい産毛から作られる繊維のことを指します。
外側のまっすぐで太い毛は刺毛、またはガードヘアと呼ばれてキャメルヘアとは区別されています。
キャメルヘアは繊維の表面に羊毛のようなスケールがないため、毛が絡み合わず硬くなりません。 また、ウールのデメリットであるフェルト化も起こりにくくなっています。
※厚手テーラードジャケット RAB473020 ¥9,790 (tax in)
ウール製・おすすめアイテム
京都三条店に入荷しているウール素材のアイテムからおすすめの3点をご紹介します。
テーラードジャケット
しっかりウールマークもついています。
ツイード生地のテーラードジャケットです。
生地はHarris Tweed (ハリスツイード) でツイード生地の中で最も聞きなじみのある名前かと思います。
そもそもハリスツイードとはスコットランド北岸の群島、アウター・ヘブリディーズ諸島で作られるツイードです。
ハリスツイードは法的にも保護されていて、1993年に制定されたハリス・ツイード法によると
「アウター・ヘブリディーズ諸島の自宅で島民が手織りし、アウター・ヘブリディーズ諸島で仕上げられ、アウター・ヘブリディーズ諸島で染色・紡績された純粋なバージンウールを原料とするもの 」
と定義されています。
その発祥は100年以上前に遡り、当時はその分厚く暖かく丈夫な生地が地元の漁師たちの防寒着として使われていたそうです。
ちなみに、ハリスツイードのロゴを見てVivienne Westwood (ヴィヴィアンウエストウッド)のロゴと似ているなと思う方も多いようですが、どちらもロゴもイギリス王室の王位を象徴する標章「オーブ(宝珠)」をモチーフにデザインされています。
デザインソースが同じために自然と似た仕上がりになっているというわけですね。
※厚手テーラードジャケット RAB548973 ¥9,790 (tax in)
無地セーター
こちらはアメリカから老舗のJ.CREW (ジェイ・クルー)
個人的に名作と思っているロールネックのセーターです。
首元だけでなく袖口と裾もしっかり丸まっていて、どこかエクアドルニットのような雰囲気も感じます。
エクアドルニットと比較するとかなり落ち着いた雰囲気で着られますし、こちらはグレーの無地で使いやすいかと。
※ウールセーター (無地) RAB555328 ¥8,690 (tax in)
ウールシャツ
最後はウールシャツになります。
遠目から見るとストライプ柄ですが実際には細かいチェック柄になっています。
ボタンダウンではなくレギュラーカラーである点もうれしいですし、猫目ボタンがついているのも細かいですが良いポイントです。
こちらのシャツもウールマーク付きです。
※長袖ウールシャツ RAB515784 ¥7,590 (tax in)
あとがき
最後までお付き合いいただきありがとうございます!
いかがでしたでしょうか?
今回は冬に最適な「ウール」という素材に注目してご紹介してきました。
セーターやテーラードジャケット、コートなどに幅広く使われている素材ですし、厳しい冬を快適に過ごすためにぜひ探してみてください!
古着屋JAM京都三条店でも幅広く取り揃えております。
スタッフ一同、皆さまのご来店をお待ちしております。