ミリタリーコートの種類をご紹介~モッズコートとの違いも解説~

メンズ・レディースともに秋冬のアウターとして、大人気の「ミリタリーコート」。

「ミリタリーコート」といえば、カーキ色の「モッズコート」といった、所謂「カーキコート」想像する方が多いと思いますが、

実は「トレンチコート」や「ダッフルコート」、「Pコート」といった秋冬の定番のコートも元をたどれば、「ミリタリーコート」の系譜です。

タウンユースに作られた「ミリタリーコート」は、特に寒さが厳しい冬の時期には無くてなならない存在に。

今回は、そんな「ミリタリーコート」の特徴や歴史を種類ごとに解説致します。

ミリタリーコートを種類別にご紹介

モッズコートとピーコートとN-3Bが吊られている
・モッズコート 

・Pコート 

・ダッフルコート 

・トレンチコート

・オールウェザーコート

・N-3B

幅広い種類の「ミリタリーコート」。

「ミリタリーコート」とは、その名の通り実際に軍人が着用することを想定して作られたコートです。

同じく様々な種類がある「ミリタリージャケット」と明確な区別はないため、今回は着丈が長いものや防寒性が高いもの、加えて元々「コート」として製造されたものを中心にご紹介致します。

ミリタリーコートの種類「モッズコート」

モッズコートを着たメンズモデル
「モッズコート」は「モッズパーカ」として生産された軍用パーカのことです。

主に野戦用の「フィールドジャケット」の上に着用するコートとして作られたため、着丈や身幅などが広く取られたデザインとなっています。

裾部分が燕尾上に分かれていて、裾のドローコードで絞れる仕様や見た目から、”フィッシュテールパーカ”と呼ばれることもあります。

「モッズパーカ」と呼ばれる由来は、イギリスが由来となっています。

1950年代後半から1960年代にかけて、イギリスでは”MODS(モッズ)”と呼ばれるライフスタイル、ムーブメントが大流行していました。

その際、アメリカから軍用パーカの余剰品が輸入され、イギリス・ロンドンでモッズたちによってファッションアイテムとして取り入れられるようになった事が由来です。

「モッズコート」という名で呼ばれるのは、1990年代以降のアパレル業界が発祥と言われ、
一種のカテゴリとして、「モッズコート」が広義の「ミリタリーコート」として認識されることが多くなったことに起因しています。

・モッズコートの種類「M-51」

モッズコートM-51

「M-51」は、1951年にアメリカ軍で採用された極寒防寒用衣料の野戦用のパーカのことです。

正式名称を、「PARKA SHELL M-1951」といい、それが由来となり「M-51」と呼ばれております。

このパーカは、「M-51フィールドジャケット」のさらに上に、寒冷地対策として着用する目的で「M-51パーカ」が作られました。

着脱可能なライナーによって、温度調整が可能な合理的な機能性に満ちたコートです。

「M-51」は、この年に採用されたモデルの総称を表すために、フィールドジャケットやパンツなどといった、パーカ以外のアイテムが存在します。

「M-51」はこれらのパーカ、ジャケット、パンツの総称を指します。

とりわけ「M-51パーカ」が”モッズコート”として有名なため、混同されやすいですが、「M-51」=”パーカ”単体を示すわけではないのです。

特徴として「M-51フィールドジャケット」の上から着用できるほどの身幅や着丈の大きさはもちろん、燕尾状に分れた裾部分、ボディとフードが一体型な点や、肩にエポレットが付いている点などが挙げられます。

・モッズコートの種類「M-65」

モッズコートM-65

「M-65」は、1965年に先行モデルの「M-51」の後継としてアメリカ軍に採用されました。

「M-51」同様にフィールドジャケット、パンツが存在し、特に「フィールドジャケット」の代名詞として「M-65」は認識されています。

この「M-65フィールドジャケット」の上に着用する為に開発されたのが、「M-65パーカ」です。

「M-51」と比べて肩部分のエポレットが省略され、一体型であったフード部分が着脱可能になっております。

その他のディティールは基本的に「M-51」と同じになっています。

近年大変人気が高まっており、希少価値が高まっております。

また、「モッズコート」の歴史を、こちらのブログからもご覧いただけます。是非ご覧ください。
https://jamtrading.jp/blog/mens/2019/10/18/18671/

ミリタリーコートの種類「Pコート」

Pコート

「Pコート」はイギリス海軍やアメリカ海軍が艦上での着用を目的に作られた「ミリタリーコート」です。

フランスのブルターニュ地方で漁師たちの作業服として着用されていました。

「Pコート」という名前になった由来は2つ説があります。

1つは、オランダ語で丈夫な毛織物のジャケットを意味する”ピージャッカ”が由来とされる説。もう1つは英語で”錨の爪”を意味する”ピー”が由来とされる説です。

由来の通り、厚手のメルトンウール生地が使用されたショート丈のコートです。

野戦用の「フィールドジャケット」がカーキ色を保護色としていたのに対して、海軍では海の色の、深いネイビーが一般的に使用されていました。

艦上での厳しい条件でも対応できるように、風向きに合わせて左右どちらでも前にできるダブル仕立てとなっています。

その他にも幅が広めの襟や、斜めに切り込みが入ったポケット、大きめのボタンが特徴です。

いずれも過酷な環境である艦上でも、手袋をしたまま活動が可能なとディティールとなっております。

ミリタリーコートの種類「ダッフルコート」

ダッフルコート

「ダッフルコート」とは、イギリス海軍に主に着用された「ミリタリーコート」です。

起源は1820年代にまで遡ります。ベルギーの街”デュフェル”に由来し、厚手のメルトンウール生地の織物産業が盛んな街でした。

防寒性が高く、安価なこの生地は評判を呼び、”ダッフル”の愛称で呼ばれるように。

この生地で作った、「ダッフルコート」は過酷な環境で働く漁師たちの作業着として着用されました。

水がすぐに吸水されない点や、高い保温性は過酷な環境で働く漁師たちの命を守る存在です。

そんな「ダッフルコート」は1890年代に、イギリス海軍に制式採用されました。

同じく厳しい気候の艦上で使用された「ダッフルコート」は後の軍放出品として流れ、アメリカなどにも広まりました。

特徴は、過酷な環境である艦上でも、手袋をしたまま活動が可能なディティールとなっております。

手袋のまま取り外しが可能なトグルボタンや、大きなポケット、頭を覆うほど大きなフードが挙げられます。

可愛い印象を持たれる「ダッフルコート」ですが、たくましい男のルーツが存在します。

ミリタリーコートの種類「トレンチコート」

トレンチコート

「トレンチコート」とは、第一次世界大戦中、イギリス軍が開発した防水型の「ミリタリーコート」が起源です。

その機能美の高さから、1つのコートの完成形とも言われています。

”トレンチ”は塹壕を意味していて、塹壕とは陸上戦で銃撃から逃れるための溝の事を言います。

塹壕内は、水が溜まる環境のため、防水性や機能性が求められました。「トレンチコート」には、高い防水性を実現するため、素材にコットンギャバジンが使わます。

この生地を開発したのが、バーバリーの創業者のトーマス・バーバリーです。高密度且つ通気性に優れたコットンギャバジンは、ゴム引きのコートが主流だった当時、革新的でした。

1914年の第一次世界大戦勃発後、イギリス軍の要請により、「トレンチコート」の原型である、「タイロッケンコート」を改良しました。

後に「トレンチコート」はイギリス軍に制式採用され、実用性を発揮した「トレンチコート」は、終戦後に一般市民にも広まりました。

特徴的なディティールが多く、肩に付けられたエポレットやライフルを撃った際の衝撃を和らげる布のガンフラップ、ベルト部分についた手榴弾を付ける目的のDカンなど様々な工夫が凝らされています。

ミリタリーコートの種類「オールウェザーコート」

オールウェザーコート

「オールウェザーコート」とは、その名の通りアメリカ軍の全天候対応の「ミリタリーコート」です。

撥水性が高く、保温性が高いボアライナーも取り外し可能なので、幅広いシーズンで着用が可能です。

比翼仕立てに、エポレット、長い着丈が特徴で、飽きのこないベーシックなデザインです。

ほぼ黒に近い深いネイビー色がよく使われ、使い勝手の良さは抜群です。

「オールウェザーコート」も含め、黒のオーバーコートは式典などに使用され、ドレスユニフォームの上に羽織る為に生産されたと言われています。

ミリタリーコートの種類「N-3B」

N-3Bあ

「N-3B」は1950年代にアメリカ空軍で採用された「フライトジャケット」です。

「フライトジャケット」とは言えども、着丈がやや長めに設定されているため、ハーフコートと言えます。

着丈が長いがゆえに、狭いコックピットに座るパイロットには不向きなため、パイロットは着丈の短い「N-2B」を着用していました。

こちらの「N-3B」は救護ヘリや輸送機の添乗員に至急されていました。

特徴は何といっても、非常に高い防寒性です。

”フライトジャケットの王様”とも言われる「N-3B」は、マイナス10~30度という極寒地での仕様を想定した上で、製造されました。

そのため、最高峰の防寒性能を誇ると言われています。

二重にしつらえた前合わせや、たっぷりの中綿、風が入らないように付けられた袖のリブ、手袋をしたままでも使えるポケットなどは、過酷な環境でも使用できる、軍の基準をクリアしたスペックを誇ります。

機能美を追求したミリタリーコート

ダッフルコートとモッズコートとPコートが置かれている
過酷な環境を想定し、作られた「ミリタリーコート」は、デザインもさるながら、抜群の機能性を誇ります。

その完成されたプロダクトは、様々なブランドがリソースとし、多くのコートの原型となっています。

近年、オリジナルであるミリタリーアイテムは大変人気となっているため、価格が高騰し、希少価値が高まっております。

マイサイズのミリタリーアイテムを見つけた際は、早めにチェックされることをお勧め致します。

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