みなさんこんにちは、古着屋JAM札幌店の諸澤です。
８月も中盤となり札幌では暑さもそろそろ落ち着いてくる時期になってきました。
日中は暖かく夜は冷えるという難しい時期であったり、夏と秋の中間という季節なだけに服選びにもついつい時間がかかってしまうかと思われます。
今回は季節を問わずに使えるミリタリーパンツの定番である＂ベイカーパンツ＂を紹介させていただこうと思います。
目次
ベイカーパンツとは
商品番号：evb004925 ¥22,990
まず、ベイカーパンツと呼んでいますが正式には″OG107 UTILITY PANTS″という名称です。
因みにOG107 というのが何かというと、OGはOlive Gleenから107という数字はベイカーパンツに使用されている色のカラーコードからきています。
本来の米軍での使用用途としては、戦闘用にはカーゴパンツがある為ベイカーパンツは工場作業や訓練等、幅広い用途で履かれていました。
なので作業用パンツという意味のファティーグパンツとも呼ばれる事が多いです。
またベイカーパンツと呼ばれる理由というのが面白いことに不明で諸説があるのですが、パン職人が履いていたからという説や、フロントのパッチポケット部分が食パンに見えるからという説等があります。
ベイカーパンツの魅力
シルエット
ミリタリーと言えばカーゴポケットが付いて太めのシルエットを思い浮かべる方も多いとは思いますが、ベイカーパンツのシルエットは、元が作業用という事もあり太すぎず細すぎずという絶妙なシルエットが魅力です。
また、シンプルな造りとストレートシルエットはスラックスの様な見え方ですが、コットンの野暮ったさや裾の溜まり方、生地の揺れ感等、スラックスよりもラフに着れるのも良い点だと思います。
特徴的なフロントポケットに加え、灰汁のないシンプルなデザインなのでどんな服にもフィットする、そんな日常使いのし易さも魅力です。
生地感
年代毎に小さな違いはありますが、柔らかく耐久性のあるコットン素材にミリタリーらしいオリーブ色とシルエットも相俟って絶妙な塩梅です。
使い込まれたベイカーパンツのフェードした白っぽい状態の雰囲気や、状態の良い深いオリーブはどちらも甲乙つけがたい良さがあります。
また、ベイカーパンツは厚手のコットンツイルが使用されますが、その耐久性の強さは実用性にも優れた逸品です。
年代別の変化
実はベイカーパンツには、年代毎に素材やシルエット等の違いがあることはご存じでしょうか。
詳細な部分は省かせていただきますが、年代毎の大きな違いについて説明させていただきます。
４０年代
この年代にベイカーパンツが初登場しました。この時代の特徴としては、生地がヘリンボーンツイル、フロントボタンには１３スターボタンが使用されています。
４０年代のアメリカ古着の＊ディテールの代名詞と言っても過言ではないこの１３スターボタン。数ある古着のディテールの中でもかなり人気の為知っている方も多いのではないでしょうか。
ヘリンボーンツイル生地も柔らかく丈夫な生地なので、実用性に長けた造りなのも魅力的の一つだと思います。
また、この年代の服自体出回ることがかなり少ないのでかなり希少です。
残念ながらこちらのパンツは当店においておらず画像でのご紹介が出来ませんがもしよろしければベイカーパンツを探す際に参考にしていただけると幸いです。
＊ディテール：衣服の襟やポケット等細かい部分のこと。
５０年代
商品番号：evb005082 ¥22,990
この時代になると近年のベイカーパンツにかなり近いデザインになってきます。
まず４０年代との大きな違いとしては、生地がコットンサテン生地になり、ボタンが茶色の尿素ボタンというボタンです。
また新しく、パンツの腰部分にはベルト以外ウエストが調整できるようにアジャスターが付く物が出てきます。個体によって様々なので付かないモデルも存在します。
また、サイドアジャスターが付く物に関しては、生産数が少なくマニア垂涎の一着では無いでしょうか。
サイズ表記がパンツの生地に直接スタンプが押されるステンシル表記がこの年代で終わるのも特徴です。
素材が故に重みはありながらも、ふわりと揺れ感のある生地に加えコットン100％の頑丈な生地はキャンプからレジャーまで幅広い用途にフィットするかと思います。
６０年代
商品番号：evb004922 ¥22,990
この年代からはディテールの変化が少なくなっていきます。
ボタンは緑の平ボタン、又は真ん中が窪んだ形状をしている通称UFOボタンが付き、50年代に付いていたサイドアジャスターに関してはこの年代を境に無くなってしまいます。
サイズ表記に関してはタグがパンツのウエスト内側に付きます。
また、60年代の後半のモデルになると裾に向かって緩くテーパードの掛かるシルエットに変化します。
70年代
商品番号：evb004917 ¥22,990
この年代の特徴は60年代からはほぼ大きな変化はありません。
ただ、コットンサテン生地が採用される最後の年代になっており、70年代以前か以後で着用感やシルエットに変化があります。
この年代からはフライ部分にはジッパーが採用される物が出てくるのでボタンフライが苦手な方で古いベイカーパンツを探している方にはこの年代がおすすめです。
また、前述の60年代よりもテーパードが強くなっている物が多い為、テーパードシルエットがお好きな方は70年代以降の物で探すとお好みの一着が見つかり易いかと思います。
コットンサテンの重ための生地感もテーパードのおかげで野暮ったくならずに履けるのも嬉しいですね。
80年代以降
商品番号：eaa414965 ￥11,990
80年代以降は70年代と同じくシルエットやデザインの変更はほぼありません。
80年代以降の最大の特徴は生地がコットンサテンではなくコットン×ポリエステルになります。
ポリエステルが入る事により色落ちが少なく、コットン100％の時よりも生地が硬めになる為、テーパードも相俟ってよりスッキリと綺麗な見た目に変化しました。
コットン自体も強い天然素材ですが、化学繊維であるポリエステルを混紡する事で更に耐久性の向上を図っています。
また、この年代の物は前述している各年代のものよりも状態等好みの条件で探し易い物になるので、価格が高騰する前に自慢の一本を探すのも楽しそうです。
ベイカーパンツを使ったアメカジコーディネート
Model : 175cm Instagram:@ya.su59
Tshirt : ¥ 7,590
品番：RAB422003
Size：S
Pants : ¥ 18,920
品番：RAB313776
Size：W33
ベイカーパンツにThe WHOのリンガーTを合わせたアメカジスタイル。
リンガーTのリブ部分とプリントに入る青が爽やかなアクセントに、サイズ感はアメカジを意識してジャストなサイズ感を意識してみました。
バンドのロゴマークでもあるラウンデルとミリタリーパンツの組み合わせで実はミリタリーコーデな伏線も潜ませてみました。
古着×歴史の面白さ
今回はベイカーパンツについて色々ご紹介させていただきましたがいかがでしょうか。
同じパンツでも年代毎にマイナーチェンジを繰り返して今の形に落ち着いたと考えると近年物も面白いですし、逆に今のパンツにはないシルエットや素材感のものがあると知るとヴィンテージも面白いかなと思います。
今は生産されていない服というだけで希少ですが、年代を遡っていく程に今現在でも着れる服の形で残っているというのは少なくなっていくのでもし古いものを見つけた場合は是非手に取って見てみて下さい。
サイズやシルエットで探すのも良いですが年代を中心に今までとは違う買い方をしてみるのも古着ならではの服の選び方かと思います。
もし既に持っている方はこちらの記事と見比べて自分が持っている物は何年代の物かが分かるとより愛着が湧いて来るかと思います。
まだ持っていない方、通年履けるパンツを探している方は是非参考にしていただけると幸いです。
前回のブログではキャラクターTシャツに関して紹介させていただきました。
もしよろしければ是非こちらもご覧ください。
店舗情報
住所
〒 060-0052
北海道札幌市中央区南２条東１丁目１−１２フラーテ札幌１階
電話番号
011-213-1138
営業時間
11:00〜20:00
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