すこし遅れましたが、皆さま明けましておめでとうございます。
古着屋JAM京都三条店の坂井です。
1月も中旬を過ぎて本格的に冬の寒さが厳しくなってきましたね。
前回のマガジンではそんな季節を暖かく過ごせるウールという生地について詳しく解説しております。
気になる方はぜひご覧ください。
今回は今の季節からインナーとして、春先まで使い勝手抜群な無地スウェットについて、FRUIT OF THE LOOM (フルーツ・オブ・ザ・ルーム) というブランドにフォーカスしてご紹介いたします。
古着屋店員によるコーデ3選もありますので是非最後までご覧ください。
目次
【ブランド解説】”FRUIT OF THE LOOM”とは?
スウェットだけでなく、Tシャツでも見かけることのある”FRUIT OF THE LOOM”というブランド。
果物があしらわれたロゴもかわいくて印象的ですよね。
ブランド名を直訳すると「織機の果物」となりますが、”fruit”はここでは「果物」ではなく「実を結ぶ」と訳すようです。
つまり”FRUIT OF THE LOOM”には「繊維業で成功する」という意味が込められています。
今回は”FRUIT OF THE LOOM”の歴史や特徴、魅力についても深堀り解説していきます!
歴史
創業は1851年、現在まで170年以上の歴史があるブランドです。
Benjamin Knight(ベンジャミン・ナイト)とRobert Knight(ロバート・ナイト)という兄弟で”B.B.&R. Knight”(ビー・ビー・アンド・アール・ナイト)という綿生地を取り扱う会社を設立したのが始まりとされています。
ちなみに、現在のアイコンになっている果物のロゴは当初、りんごのみの絵だったようです。
ロバート氏の友人の娘が描いたりんごの絵をラベルにして生地を販売したところ、その生地に人気が出たというエピソードがあります。
そしてりんごの絵に価値を見いだしたロバート氏がすべての商品にりんごの絵を貼り、やがてアイコン的な存在になっていったそうです。
このりんごの絵がきっかけとなり、1871年に”FRUIT OF THE LOOM”というブランドが誕生しました。
その後、1893年にシカゴ・ワールドフェアというトレードショーに参加する際、アイコンとなっていたりんごの絵から現在の”FRUIT OF THE LOOM”のアイコンの原型となるロゴに変更されます。
“FRUIT OF THE LOOM”というブランド名がついて以降もしばらくは綿生地の取り扱いが続いていました。
その後、ライセンス契約として”FRUIT OF THE LOOM”の肌着の商品展開がはじまったことがいまのアパレル事業につながっています。
1938年に”UNION UNDER WEAR”(ユニオン アンダー ウェア)社という肌着を作る会社とライセンス契約を結びます。
これによって”FRUIT OF THE LOOM”のネームのついたインナーウェアやボクサーパンツといったアンダーウェアが誕生します。
品質が良く、良心的な値段のそういった肌着はブランドを軌道に乗せて、商品数も増えていきます。
その後、1950〜1960年代にはTシャツ、スウェットシャツのような普段着も展開していきます。
ざっくりと歴史をご紹介してきましたが、こうして現在の”FRUIT OF THE LOOM”に繋がっていきます。
現在、”FRUIT OF THE LOOM”はアメリカのケンタッキー州に本社、ヨーロッパ支部や日本支部など、さまざまな国や地域に拠点を設けており、それぞれの国のニーズやトレンドに合わせた商品が存在しています。
RUSSELLとの比較
無地スウェットと聞いてRUSSELL (ラッセル) を連想される方も多いかと思いますので、今回はRUSSELLの無地スウェットと”FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットを比較してみたいと思います!
今回比較に使用するアイテムはどちらも90年代のアイテムとなっております。
赤色の無地スウェットがRUSSELL、黒色が”FRUIT OF THE LOOM”となっています。
ピスネーム
RUSSELLの無地スウェットにはピスネームという小さな四角い布が付くことが多いです。
ここにRUSSELLの鷲のロゴが描かれています。
それに対して”FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットにはこのピスネームはほとんど付かないため、完全に無地なスウェットをお探しの方にはおすすめです!
前Vガゼット
RUSSELLのスウェットは90年代のアイテムでも前身頃にVガゼットが付いていることが多いです。
これはヴィンテージスウェットでよく見られたディテールですが、最近のユニクロのスウェットでも再現されていたりします。
古着らしさが演出できる反面、首回りをスッキリさせたかったり、ネックレスやチョーカーといったアクセサリーを付ける際にはガゼットがないアイテムの方が好ましいときもあります。
“FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットではこのVガゼットは付いていないことが多いため、よりシンプルなアイテムをお探しの場合におすすめです。
袖・裾のリブ
RUSSELLの無地スウェットでは袖と裾のリブがしっかり締まっている個体が多い印象です。
そのため短丈、身幅広めのシルエットを作りやすいです。
“FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットでは比較的リブが緩いアイテムが多い印象です。
あくまで個体差はありますが、着こんでいくうちに徐々に緩くなっていきます。
そのためカットソー感覚で着やすかったり、レイヤーで見せやすかったりします。
スリーブの仕様
RUSSELLの無地スウェットではセットインスリーブになっていることが多いです。
しかし、”FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットはラグランスリーブになっていることが多いため、肩幅に関わらず、自然な落ち方をしてくれるアイテムが多くなっています。
※RUSSELL スウェットトレーナー(無地) RAB570726 ¥9,790 (tax in)
※FRUIT OF THE LOOM スウェットトレーナー(無地) PAA002083 ¥7,590 (tax in)
比較してみたまとめ
RUSSELLと”FRUIT OF THE LOOM”の無地スウェットをディテールごとに比較してみました!
それぞれの良さがありますのでぜひ皆さまのお気に入りを探してみてください。
RUSSELLの無地スウェットについてはこちらのマガジンでも詳しく解説しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。
【Choose Sweat – 自分のスウェットを選べ -】RUSSELL ATHLETIC (ラッセル アスレチック) の無地スウェットを徹底解説!古着屋店員による年代判別とコーデ紹介!
【選び方】自分に合う無地スウェットとは?
ロゴやプリントのない無地スウェット、他のアイテムと比べると着た際のサイズ感や生地の色味、シルエットが大事になってきます。
今回はそれぞれの項目別に細かくみていきます!
着丈・身幅
着丈が短いスウェットは1枚で着た際にトレンドらしいシルエットを作ることができます。
また、着丈が短めの場合は身幅が広くとられているアイテムがおすすめです。
反対に着丈が長くとられているスウェットは1枚で着てもゆるいシルエットを作れます。
ジャケットなどアウターを羽織った際には少し裾から見せてレイヤードもできますね。
色味
無地スウェットはロゴやプリントがないため、基本的にボディの色選びが大切になってきます。
黒色やグレーが無難に使いやすい色ではありますが、あえてオレンジや黄緑などのパステルカラーも差し色に使えておすすめです。
今の季節だとインナー使いすることが多いと思いますので、今まであまり挑戦してこなかった色味にもチャレンジしやすいかと思います。
袖・裾
袖や裾には基本的にリブがついています。古着でスウェットを探すとリブがしっかり締まっている個体とそうでないものも存在しています。
リブが締まっているアイテムは若干でしたら着丈の調整ができるのでおすすめです。
また、袖の付き方にも注目してみると面白いと思います。
よく見かけるのは大きく2つあります。
1つはセットインスリーブ、もう1つはラグランスリーブです。
袖を胴体にドッキングしたような形がセットインスリーブで、1枚の布で繋がっているように見える形がラグランスリーブです。
ラグランスリーブのアイテムは肩幅に関係なく、自然に肩のラインでストンと落ちてくれます。
生地感
champion (チャンピオン) のリバースウィーブや、Russell (ラッセル) のプロコットン・ハイコットンのようにガシガシした生地と、コットンとポリエステルの比較的柔らかい生地も存在します。
アメカジやミリタリーアイテムと合わせるスタイリングでは硬い生地感が相性が良いですし、ノームコアファッションなど、幅広く合わせやすいのは柔らかい生地感かと思います。
【アイテム紹介】”FRUIT OF THE LOOM” おすすめ無地スウェット
“FRUIT OF THE LOOM”blue blank sweatshirt
※FRUIT OF THE LOOM スウェットトレーナー(無地) RAB552734 ¥6,490 (tax in)
鮮明な青色が印象的な無地スウェットです。
サイズはやや大きいですが、1枚で着てもしっかり主役になれますし、インナー使いで首元や裾から見せていても良いなと思います。
“FRUIT OF THE LOOM”のスウェットらしくラグランスリーブ仕様で、リブも程よく締まっています。
青色や水色、緑色のような寒色でも無地スウェットを1枚持っているとコーデの幅がぐっと広がるのでおすすめです。
“FRUIT OF THE LOOM” orenge blank sweatshirt set-in sleeve
※FRUIT OF THE LOOM スウェットトレーナー(無地) RAB572119 ¥6,490 (tax in)
こちらも印象的なオレンジ色です。
先ほどの青色とは異なり、袖の仕様はセットインスリーブとなっています。
生地感もタグに”HEAVY”と書いてある通り、championのリバースウィーブやRUSSELLのプロコットンのような肉厚さです。
“FRUIT OF THE LOOM” henry neck blank sweatshirt
※FRUIT OF THE LOOM スウェットトレーナー(無地) RAB597343 ¥5,390 (tax in)
首元が特徴的なヘンリーネック仕様となっています。
身幅も比較的広めにとられていますが、裾のリブは付かないため、着用するとAラインシルエットになります。
1枚でも着られますし、分厚いロンTのような感覚でインナー使いでも優秀です。
色味も絶妙なエメラルドグリーン、探すとなかなか難しいアイテムかと思います。
【コーデ紹介】テーマ別3選
今回は”FRUIT OF THE LOOM” の無地スウェットを使った古着屋店員コーデをテーマ別に3つご紹介します。
グランジコア
※レザージャケット RAB533548 ¥18,590 (tax in)
※セレクトスウェットトレーナー PAA002084 ¥7,590 (tax in)
※サッカーマフラー RAB503792 ¥4,290 (tax in)
まずはグレーの無地スウェットを使ったグランジコアのコーデです。
グランジコアとはレザージャケットのようなハードなアイテム、Y2K・パンク・サイバーなテイストをストリートな街着に落とし込むスタイルです。
今回もレザージャケットを着用、足元はデニムにレザーシューズとグランジコアの雰囲気を作りながら、レディースらしいスカートでレイヤードしています。
小物は赤色のキャップとオレンジ色のサッカーマフラーで顔周りに明るい雰囲気を作っています。
グレーの無地スウェットは寝間着っぽく見えてしまうこともありますが、このように小物とミックスしたり、レザーなどのハードなアイテムと合わせることで抜け感が演出できて便利です。
ユーティリティミックス
続いては先ほどもご紹介したオレンジ色の無地スウェットを使ったユーティリティミックスのコーデです。
ユーティリティミックスとはワークやミリタリーといった機能性を兼ね備えた無骨なアイテムを上品にファッションへ落とし込むスタイルです。
今回はアウターにカーキ色のミリタリージャケット、ボトムスはデニムパンツとしっかりミリタリーとワークの要素を入れています。
大判のマフラーを着用することで上品さもプラスしています。
首元や裾から少し見えているオレンジがかなり差し色として効いていますね。
※厚手ミリタリージャケット RAB526932 ¥18,590 (tax in)
※スウェットトレーナー(無地) RAB572119 ¥6,490 (tax in)
クワイエットアウトドア
最後に青色の無地スウェットを使ったクワイエットアウトドアのコーデです。
クワイエットアウトドアとはQuiet Luxury(クワイエットラグジュアリー) × Gorp Core(ゴープコア)という掛け合わせで、さりげないラグジュアリー要素とスポーツやアウトドアアイテムをミックスするスタイルです。
今回はアイテムのほとんどを黒色で統一しつつ、インナーとして青色の無地スウェット、マフラーとメッセンジャーバッグも色を統一しています。
使う色味を極限まで少なくすることで統一感とラグジュアリーさを演出しています。
また、手袋にピンク色を使っているのもワンポイント効いていて上手です。
※Patagonia 厚手アウトドアブランドジャケット RAB602476 ¥13,090 (tax in)
類似のアウトドアブランドジャケットはこちらからご覧いただけます
※スウェットトレーナー (無地) RAB534814 ¥6,490 (tax in)
おすすめ入荷紹介
60’s french black moleskin work jacket
※ユーロワークジャケット VTG051319 ¥44,990 (tax in)
ブラックモールスキンのユーロワークジャケットです、おそらくフレンチ。
ブラックモールスキンのアイテムを入荷すること自体が珍しくはありますが、こちらの個体はフェード感、ボロ感ともに凄く良い雰囲気となっています。
サイズも大きすぎず、小さすぎず、幅広く着ていただけるかと思います。
ところどころ破れと、それに伴うタタキの跡がありますが、丁寧に着られてきた歴史を感じることができます。
made in Austraria COOGI knit sweater
※COOGI クージーセーター VTG051639 ¥21,890 (tax in)
しっかりオーストラリア製、COOGI (クージー)のニットセーターです。
ちなみにCOOGIは、1969年に設立されたオーストラリア発のメンズニットウェアブランドです。
1990年代にHIP HOPシーンを中心に人気を集め、様々なアーティストやセレブがカラフルなニットを着用していました。
その後、ニットウェアブランドとして頑固たる地位を確立します。
最近では90年代ファッションの再熱により、HIP HOPシーンを中心に再び注目を浴びています。
COOGIといえばカラフルな3Dニットを想像しますが、こちらは一風変わった黄色です。
生地はCOOGIらしい織り方がされていますが、なかなか単色のアイテムも見ないのでかなりおすすめです。
70’s EDDIE BAUER Classic Raglan down jacket
※Eddie Bauer ダウンジャケット VTG051389 ¥35,090 (tax in)
スカイライナーやユーコンと並んでブランド初期からカタログに掲載されている名作、オールパーパスとかなり似ていますがオールパーパスとは違いスタンドカラー仕様となっています。
キルティングステッチのないシンプルでミニマルなデザインはスタイルやシーンをほとんど選ばずに着ていた抱けるかと思います。
使い勝手抜群のブラウンと、ほどよい短丈・身幅広めでシルエットも文句無しかと思います。
これから本格的な寒さが到来する前にぜひ!
あとがき
最後までご覧いただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
ノームコアや落ち着いたファッションとの相性が良い無地スウェットですが、様々なスタイルに混ぜ込むことができます。
1年を通して長い期間で着られますし、ぜひお気に入りの1枚を探してみてください。
古着屋JAM京都三条店でも種類豊富に取り揃えております。
皆さまのご来店、スタッフ一同お待ちしております。